人間 椅子。 江戸川乱歩 人間椅子

異端のハードロックバンド「人間椅子」デビュー30周年記念ライブレポート

人間 椅子

あのイカ天バンドが再ブレイク中 『いかす! バンド天国』でのデビューから28年、再ブレイク中の「 人間椅子」。 から上京しデビューし、ドラマーチェンジを経てもなお、不遇の時期も歩みを止めることなくコンスタントに新譜を出し続けているハードロックバンドだ。 その確かな演奏力と、日本の文学や怪奇を取り込んだ世界観がじわじわと評価され、2013年の「Ozzfest Japan」出演の頃から再ブレイク。 メンバーの 和嶋慎治さん(ギター、ボーカル)が ももいろクローバ ーZとの共演、声優・ 上坂すみれさんへの楽曲提供を行うなど、ベテランでありながら常に新しい分野にも挑戦し続けている。 「人間椅子」を支える屋台骨、ベーシストの 鈴木研一氏(ベース、ボー カル)は、自身が主催するオールナイトのハードロックイベント「 ハードロック喫茶ナザレス」でおでんやたこ焼などをお客さんに振 る舞ったりと、料理好きな一面も持っている。 きっと、その28年のキャリアを支えたもののひとつに、鈴木さん が自炊する料理があったに違いない! ということで、長年バンドを支え続けた、自慢の料理を振る舞っていただくことに! 鈴木:バンドを支えたとかそういうんじゃないけど、俺がいつも食ってる、好きなメシを作ります。 「なるべくみなさんに再現しやすいものを」と鈴木さんが選んだ本日のメニューと食材は、こちら!• 炊き込みごはん• 鈴木風豚汁• 鶏と大根の煮物• 焼肉 『地獄の料理人』『冥土喫茶』など、地獄の風景をユーモラスに描いた持ち曲のある鈴木さん、荒々しくたたいて作る肉料理が多いのかと思いきや、実際に並んだのは意外にもほのぼのかつ健康的なレシピだった! ではさっそく、鈴木さんに調理していただこう。 まず1品目は、炊き込みごはんのレシピをご紹介。 「鈴木家の炊き込みごはん」のレシピ 材料(4人前)• 米 3合• 水 500cc• 鶏もも肉 1パック(250g程度)• ごぼう 1本弱• 油揚げ 1枚• 醤油 大さじ3推奨(鈴木さんは大さじ4)• 酒 大さじ3• こんぶ茶 付属のスプーンで3杯 「人間椅子」がスリーピースバンドだからなのか、偶然にも3という数字が多く、覚えやすいレシピだ。 まずは、米とぎからスタート! 鈴木: 米のとぎ方は、漫画を読んで覚えました。 だと、食材を水に浸けることを「うるかす」って言うんですよ。 僕は父親がで、母親が三沢出身なんです。 今も三沢の長芋がうちに届きます。 それをすってごはんにかけて食う。 だったらとんぶりとセットで食うんだけど、のスーパーだと売ってないことも多いんですよね。 同じでも、がある軽のほうと、三沢がある南部のほうじゃ全然料理が違いますよ。 鈴木:例えば、ほっけを漬けて発酵させて、そのまま食べたり炙ったりする「 ほっけのすし」っていうのがあるんだけど、これは軽のほうだとよく食いますね。 くさやと似ています。 これ以上しょっぱい食べ物があるのかってくらいしょっぱいの。 ほんの1cmあればごはん1杯食べられるくらい。 そんな話からわかるように、鈴木さんは東北人らしく、かなりのしょっぱいもの好きだ。 今日は、自分好みのメニューを選びつつも、塩加減は若干手加減して振る舞ってくださるという! 米をといだ後は、ごぼうのささがき作業に移る。 大きな手がリズミカルかつ正確に動く様がとても美しかった。 鈴木:ごぼうは皮がおいしいから、皮はむかないで作ります。 歯応えがしっかり感じられる、やや厚めのささがきだ。 今日は、鈴木さんのマイ包丁をお持ちいただいた。 鈴木:この包丁は8年くらい使ってるかな。 包丁はあんまり切れないほうが好きなんですよ。 自分の希望する研ぎ具合があるじゃないですか。 だと包丁研ぎ屋さんが家に来るから、実家で料理すると切れすぎてかえってやりづらい。 鈴木:実家に帰る度 に、母親にこの料理どうやって作るのって聞いてます。 「けの汁」とか、レシピサイトで調べてもあんまり載っていないようなものを。 「けの汁」ってのはの汁物なんですけど、材料をすべて細かーく切らなきゃいけなくて、作るには2時間あっても足りない。 まず、うるかした大豆の皮をむくところから始まるから。 よく子どもの頃、手伝いで皮むきやらされてましたね。 鈴木さんの炊き込みごはんは、鍋で具を煮て、その煮汁で炊き込む方式だ。 これもお母さんに教わった、おふくろの味だという。 500ccの水を火にかけ、さきほどのごぼうを投入。 続いて調味料を加える。 鈴木:米3合だったら、普段は醤油大さじ4入れますね。 普通は大さじ3くらいだろうけど、俺はしょっぱいの好きなんで。 ベーシックなおいしさを求める人は大さじ3、より鈴木さんの日常の味に迫りたい人は、迷わず大さじ4投入しよう。 続いて、鶏肉の下ごしらえに取りかかる。 鈴木さんはむね肉よりも、断然もも肉派だそう。 3cm角ほどのサイズに皮ごとカット。 炊き込みごはんとしてはかなり迫力のあるサイズだ。 鈴木:最近、鶏肉の黄色い脂肪取っちゃうお店が多いじゃないですか。 あれ、つけたままにしてほしいんですよね。 黄色いとこが好きなんですよ。 それが鶏肉のうま味だと思うんだよな〜。 さきほどの鍋に、カットした鶏肉を入れる。 肉のあく取りはこまめに行うのがポリシーだ。 鈴木:吉野家で2年間バイトしていた時、ずーっとあくばっかり取ってた。 一日2回タレをこすんですけど、その直後の牛丼がすごくうまいんですよ。 今でもよく買いに行くんですけど、あっこれタレこしの後だ! ってわかったら、その時間を狙って行ってます。 牛丼は自分で作ってもおいしくなかったですね、苦労の割には。 肉がおおむね煮えたところで、だし代わりのこんぶ茶を加える。 鈴木さんは化学調味料が苦手で、味噌汁を作る時は煮干しからちゃんとだしを引くそうだ。 「本当はもっと入れたいんだけど、みんなあんまりしょっぱいの好きじゃないだろうし、このくらいにしておこう」と、付属のスプーンで3杯入れたところで迷いながら手を止めた鈴木さん。 具材が煮上がったら粗熱を取る。 油抜きした油揚げを1cm幅程度に刻んでざるに入れておき、その上から具材を汁ごと注ぎ入れる。 といだ米とゆで汁を釜に入れ、 具材は入れずにとっておき、煮汁だけでごはんを炊き上げる。 鈴木:具は蒸らしのときに入れます。 スイッチ、オン。 炊けるのを待つ間に、ほかの料理を作っていただく。 鈴木さんの手際は鮮やかで、ここまでで10分程度の時間であった! にんにく香る「鈴木風豚汁」 続いて、「鈴木風豚汁」の作り方をご紹介。 ネット上の情報からその存在を知り、とても気になっていたので、今回ぜひ! とリクエストさせていただいた。 鈴木:確か前のファンクラブの会報に書いたんじゃねえかな? 鈴木風っていっても、ただの豚汁作って、にんにく入れてつぶすだけですよ。 材料(4人前)• じゃがいも 3個• 豚バラ薄切り 1パック(150g程度)• 水 1リットル程度(大根に水がしっかりかぶる程度)• にんにく 3かけ• 味噌 大さじ6程度• 長ねぎ 1本• お好みで焼き豆腐、結び白滝など レシピを見ていて気づくのが、大抵の豚汁に入っているにんじんが使われていないことだ。 鈴木:炊き込み御飯もそうだけど、にんじんとかしいたけが嫌いで入れていないんですよ。 自分が料理上手だと思ったことは一回もないですけど、にんじんやしいたけを抜いたりできるし、しょっぱいのが好きだから、どうしても自分の好きな味に作れる自炊になるんですよね。 大根は、5mmちょっとのいちょう切りに。 こちらの水は1リットルほど。 大根にしっかりかぶるくらい入れよう。 そして、この豚汁のキモになるのがにんにくだ。 鈴木:後から加えるんじゃなくて、野菜と一緒に最初から煮て、にんにくが溶けた頃にすりつぶして溶かすんです。 なんとなくにんにくを入れてみたらうまかったから、それ以来ずっとやってます。 大根が少し煮えてきたところで、にんにく3かけを投入。 大根もあくを取りながら、丁寧に煮る。 じゃがいもは3つ。 豚汁に使うじゃがいもはほっくりした男爵ではなく、煮崩れしにくくねっとりしたメークイーン推奨とのこと。 豚肉を入れてあくを取りながら煮込み、じゃがいもを投入したら20分ほど煮込む。 今日は普段はあまり入れないという焼き豆腐と白滝もプラス! ねぎは一緒に煮るのではなく、生のねぎをあとから加えるスタイルだ。 煮えるのを待つ間に刻んでおく。 「鶏肉と大根の煮物」のレシピ 続いて、3品目! 材料(4人前)• 鶏もも肉 1パック• 水 (具がひたひたになる程度)• 醤油(お好みで酒と同量)• 酒 (お好みで水と同量) このメニューで使うのは、さきほどの2品を作るときに一緒に下ごしらえしておいた具材がほとんどだ。 もう一つの鍋が小さかったた めぎゅうぎゅうだが、実際に再現する際は長時間煮込むのでひたひ たになるくらい水を入れて! 大根は、2cmほどの厚さのいちょう切りに。 鈴木:よっしゃ、あとは煮るだけだ。 こんだけ具がいっぱい入って、まずいわけがないんだよね。 誰が作ろうが。 だしは入れずに、肉でだしを取る感じです。 その言葉どおり、調味料はシンプルに醤油、酒のみ。 ここでも醤 油と酒は同量程度で。 鈴木: 煮る時間の目安は、食べたくなったとき。 自分で食うときは汁がなくなるまで煮て飛ばすんで、しょっぱいっすよ。 もうしばらく煮えるのを待ち、次の料理に移ろう。 県民おなじみ「源たれ」の焼肉 最後に披露していただいたのは、県民の家庭に必ずといっていいほど常備されている「 スタミナ源たれ」を使ったメニューだ。 材料(4人前)• 豚バラ薄切り お好みで(今回は150g程度)• スタミナ源たれ (全体にまぶせる程度)• トマト お好みで(今回は2個程度) 鈴木:これは学生の頃よく作って食ってました。 肉で特に好きなのは豚バラですかね。 豚はバラしか食わないです。 とんかつだったら、ロースの脂身が多いところ。 もう赤身がなくて脂身だけでもいいくらいなんですけどね。 鈴木:こうして漬けておくと柔らかくなるんですよ。 漬けて、焼いている最中にもタレ入れて、さらにタレをつけて食うの。 普通の人はそこまでやったらしょっぱすぎるかもしれないけど。 付け合わせのトマトは串切りにして準備済みだ。 中華鍋で、肉を焼き付ける。 味を付けて焼いた肉に、さらに源たれをオン。 鈴木:普段はホームセンターで買った800円くらいの安いフライパン使っているんだけど、中華鍋いいですね。 1つ買おうかな。 こちらが、今回使用した「スタミナ源たれ」だ。 その隣には、で8月に開催されるねぷたの山車の絵が描かれたCDが。 鈴木さんは大のねぷた好きで、最新アルバムにもねぷたの写真を取り入れているのだ。 鈴木:今回出した『 異次元からの咆哮』っていうアルバムは、三浦呑竜さんっていう僕の好きな絵師さんが描いたねぷたジャケットになってます。 カメラマンがに行って、実際に走ってるねぷたを撮ったものなんです。 ねぷたの絵は、葛飾北斎が大元で、題材は三国志と水滸伝が多いですね。 料理中にBGMをかける人も多いが、鈴木さんはどうなのだろう。 「人間椅子」の曲をかけることはあるのだろうか。 鈴木:タブレットで、ネットラジオのクラシックロックチャンネルを聞いてます。 料理中だと油がはねる音でうるさくなるから、爆音で。 鈴木:あんまりかっこよすぎる曲だと料理の手が止まっちゃうし、プログレだと音が小さいパートがあったりして油の音で聴こえなくなる時があるから、70年代洋楽ヒットパレードみたいなやつがいいんじゃないですかね。 例えばローリング・ストーンズとか、イーグルスとか。 メタリカとかブラック・サバスだと、つい聞いちゃうんでね。 年をとってから気づきましたけど、ストーンズは車の運転にもいいし、何するにも最高なんですよ。 「人間椅子」の曲は、料理には合わないんじゃないかな。 約1時間でいよいよ4品が完成! こうしてすべてが整ったところで、最後の仕上げの時間がやってきた。 炊飯器のアラーム音が鳴る数分前、とっておいた具をごはんの上に乗せて蒸らす。 その間に、豚汁のにんにくを潰す重要なステップにとりかかる。 ステージ上のような形相で、ガシガシにんにくを潰す鈴木さん。 にんにくがグジュグジュになるまでしっかり潰したら、味噌を溶き入れよう。 鈴木:味噌は米麹の白みそを使っています。 豚汁のお味のほどは……? 鈴木:うん……薄い! 俺にはちょっと薄めだけど、みなさんにはちょうどいいかも。 続いて、煮物も汁気が飛んできたので、ここで完成! 食器に移すと、うまそうな湯気が立ち上がる! 炊き込みごはんのアラーム音が鳴り、こちらも完成! ごはんの炊きあがりにあわせて、約1時間ですべての調理が完了した! 鈴木さんの手料理が完成。 こちらが、鈴木さんの食卓でヘビロテされている4品だ。 いざ、実食。 本日はゲストとして、レコード会社の方に召し上がっていただいた。 ゲストさん:具、でかいですね! 鈴木: うめえ! でも、豚汁薄すぎたね。 ゲストさん:薄いっすか? ちょうどいいですよ。 鈴木:考えましたよ俺も(笑)。 みんなにしょっぱいって言われるのもなあと思って。 では、一品ずつじっくり味わってみよう。 まず、最後にあぶったもみのりを散らした、炊き込みごはん。 鈴木さんとスタッフがおかわりし、あっという間に食べ切ってしまった。 ごぼうの素朴な香りを胸いっぱいに吸い込むと、行ったことがなくてもの風景が浮かぶようだ。 大きな大根と鶏肉がゴロッと入り、ごぼうが香る鶏肉と大根の煮物。 最後に残った煮汁は、肉と野菜のだしだけとは思えないうま味。 ちょっと冷めて味が落ち着いた頃、思わず飲み干したくなるようなうまさだ。 源たれがジュワッとしみ込んだ焼肉には刻みねぎを散らし、トマトを添えてさっぱりと。 鈴木さんはしょっぱいんじゃないかと連呼していたが、自然な甘みで意外にも優しさを感じる。 この肉を細かく刻んでチャーハンなどにアレンジしてもうまそうだ。 そして、にんにくがふんわり香る「鈴木風豚汁」。 食べてみると意外にもにんにくが出しゃばらず、奥からグッと全体を底上げしてうまさを支えてくれているような印象。 この味が忘れられず、自分でもまたすぐに作ってしまった! この冬はこの「鈴木風豚汁」で乗り切れそうだ。 ものすごく仕事のできる割烹の料理人のような、静かで丁寧な鈴木さんの所作は、終始美しかった! 鈴木:今日は一杯作ったけど、普段は納豆と卵と鮭くらいあればいいんです。 でもスパゲティはよく作りますね。 あさりのボンゴレと、たらこスパゲティ、ペペロンチーノ風に余った野菜を全部切ってそれを野菜汁とからめるのはよくやっています。 今後は、パスタを極めたいですね。 最後に、2017年10月31日からの全国ツアーに向けてのメッセージを。 鈴木:70年代ハードロックが好きな人には、絶対気に入ってもらえると思うんで、そういう方はぜひ。 子連れでも来てほしいなあ。 ドラムが変わって、前より陽気なバンドになったけど、デビューした28年前から、音楽は全然変わってませんから。 鈴木家の食卓を再現すれば、きっと好きなことを何十年も貫くパワーがみなぎってくるはずだ。 おまけ 先日、 人間椅子の公式インスタグラムにアップされた写真の撮影風景。 調理場の熱気にやられ、お気に入りのバンド「ゴースト」のパーカーを脱いだ鈴木さん。 鈴木:ゴースト脱いでもゴースト。 04 Release.

次の

人間椅子 (バンド)

人間 椅子

来歴 [ ] オリジナルメンバーでありフロントマンでもある 和嶋慎治(ギター)と、 鈴木研一(ベース)を中心に人間椅子の来歴を列挙する。 中学時代(1970年代後半) [ ] 、和嶋は、鈴木はに入学した。 両者とも中学校時代から地元のロック鑑賞会を通して親交があった。 まだバンド結成にこそ至っていなかったが、鈴木が持ち寄っていたのレコードを和嶋が視聴したり、皆で楽器のセッションをするなど、すでに音楽的な交流の萌芽を見せていた。 当時、和嶋は、、、 、鈴木は、、などがコピーの中心だった。 高校時代(1980年代前半) [ ] 、両者ともに入学し、そこから音楽仲間として徐々に交流が深まってゆく。 すでに和嶋が宅録で作曲をしていたことを受け、鈴木は『デーモン』という曲を作る。 これが『』の原型となった。 (高校2年生)、和嶋は自室にてと遭遇したことにより、精神状態が変容する。 この超常現象による音楽性への影響も大きく、作曲の傾向も恋愛や青春から、厭世的で的なものに一変したという。 終末をテーマとした『』を作曲し、音楽仲間に聴かせたところ皆は気味悪がったが、鈴木だけは「今までの曲の中で一番好きだ」と評した。 いわば、人間椅子の世界観のひとつが確立された時期でもあり、後にこの曲は人間椅子としての楽曲となっている。 (高校3年生)、音楽仲間によって結成されたバンドに和嶋がギター、鈴木がベース担当として在籍する。 文化祭にて、和嶋らが作詞作曲したハードロック調のオリジナル曲を披露したことが、人間椅子としての音楽活動の黎明となった。 なおこの時のバンドは、両者にとっては不本意ながらものコピーがメインにも関わらず、名前が「 死ね死ね団」だった。 (高校卒業後)、両者とも浪人生となったが頻繁に文通でやりとりをしていた。 当時、鈴木はブラック・サバスに心酔しており、是非とも和嶋にも好きになって貰いたく、「ブラックサバス ベストセレクションVol. 1」と銘打ったカセットを手紙と共に送る。 そして和嶋が見事にサバスを気に入ったことで、鈴木の思惑は功を奏した。 和嶋いわく、サバスの重苦しいサウンドが、浪人中の悶々とした気分にぴったりとハマったのだとか。 二人は文通ながらも、大学に合格すればバンドを組むことを約束し合う。 大学時代(1980年代後半) [ ] 、和嶋は仏教学部、鈴木は外国語学部ロシア語学科へと入学する。 両者の交流は活発になり、共に死ね死ね団の残党としてバンド活動を再開させ、ブリティッシュ・ハードロックを中心としたコピーを行う。 (大学3年生)、オリジナルの作曲も始め、都内のライブハウスを拠点として活動を本格化させた。 この時に情報誌ので同名のバンドの存在を知り、すぐさま「 人間椅子」に改名する。 この時のドラマーが上館徳芳。 (大学4年生)、就職活動の時期となり、メンバーの間でもバンドは趣味で続けていくほかないという雰囲気が流れていた。 ある日、大学卒業が間近となっても就職先が見つかっていなかった和嶋がレコード店でのレコードを物色していた。 すると、就職活動帰りの鈴木と偶然出くわし、彼から「和嶋ァ、わ、やっぱり就職やめで、バンドやるごとにしたじゃあ」と言われ、本格的な音楽活動に誘われたという。 鈴木はに就職が内定していた にもかかわらず、それを蹴った。 両者とも、この時の出来事を「運命」と形容している。 、TBS系列で放送されていた深夜番組「」に出演し『』を演奏。 鈴木の奇抜な衣装の所以でバンドと見られていたが、それとは裏腹に非常に卓越した演奏技術と、圧倒的かつ独特な世界観を見せつけ、辛口の審査員たちからも番組史上数少ない〝青ランプ連発〟で絶賛され完奏した。 1990年代 [ ] バンドブームに乗じて日本で数少ない70年代基調のハードロックバンドとして認知されたが、ブーム終息後は浮き沈みを経験。 ドラマーの入れ替わりやインディーズでの活動を経ながらもバンドを存続。 、メルダックより『』でメジャー・デビュー。 、3rdアルバム『』の発売後、初代ドラマーの上館徳芳が脱退。 、4thアルバム『』を発売。 がサポート・メンバーとして参加。 、インディーズのレーベルであるフライハイトに移籍し、5thアルバム『』を発表、2代目ドラマーとなる土屋巌が加入。 、人間椅子のファンであり、漫画『』の原作者でもあるの依頼により、同名のイメージ・アルバム『』を発売。 当作のツアーを前に土屋巌が脱退。 3代目ドラマーとなる後藤マスヒロが正式メンバーとして加入。 7月、再びメルダックと契約しメジャーレーベルに復帰。 2000年代 [ ] 12月、渋谷O-Westでのライブを最後に、後藤マスヒロが脱退。 6月、4代目ドラマーとして ナカジマノブが加入。 には、新宿ロフトでの「猟奇大作戦〜赤い夕陽が校舎を染めて、お前の額に釘を打つ」にて、改名のきっかけとなったバンド「死ね死ね団」と初共演。 には活動20周年を記念して『』をリリース。 には通算20枚目のアルバム『』を発表した。 2010年代 [ ] ライブの動員の増加、CDのセールス向上などにより、それまでの低迷期から人気再燃の兆しが見えはじめ、ついに2013年のへの出演を契機として「絶頂期」と称されるブレイクを迎えることとなる。 2012年11月21日に発売されたの『』に収録された『黒い週末』にて、和嶋がギター演奏で参加。 ブラック・サバスのオマージュである当作に相応しい、を思わせるサウンドが演奏可能なギタリストとして和嶋の名が挙がり、のの紹介によって依頼が及んだ。 、敬愛してやまないの主催のオズフェスト2013に出演。 同年8月には『』を発表した。 6月、前作から1年と経たずして通算22枚目のアルバム『』を発表、同タイトルを冠した25周年記念ツアーを敢行した。 、筋肉少女帯とのコラボシングル『地獄のアロハ』を「筋肉少女帯人間椅子」名義でリリース。 、二度目のオズフェストに出演。 同年放送の・系テレビドラマ『』の劇伴を担当。 初めて映像作品の楽曲を提供する。 、に初出演。 2017年10月16日付けで、20thアルバム『』がオリコンチャート18位を記録し、バンド史上最高の順位となった。 スタートの連続ドラマ『』(原作:)の主題歌を担当。 初のドラマ主題歌のオファーということもあり、同名の新曲を書き下ろしたが、これまで文学作品のタイトル冠した楽曲を制作していた人間椅子にとっては、至って恒例のことといえる。 に21stアルバム「」をリリース。 これに先立ち、同年5月にでリード曲「無情のスキャット」のミュージックビデオを公開。 同年6月に再生回数100万回、8月に200万回を記録し、特に海外から賞賛のコメントが集まったことが注目された。 これが追い風となり、アルバムもオリコンで過去最高の記録となるウィークリー14位を獲得した。 メンバー [ ] 現在のメンバー [ ] オリジナルメンバーである和嶋と鈴木は、中学時代からの付き合いということもあり、一度も喧嘩をしたことがないというほど仲が良い。 ライブMCでも、双方による褒め合いや励まし合いが多いことで知られ、鈴木は和嶋以外とバンドを組むつもりはないという。 しかし一方、両者の親密な関係による会話の傍で、歴代のドラマーが置き去りになることも多かったらしい。 現在のドラマーであるナカジマは、そんな和嶋と鈴木の蜜月によって培われたグルーブに感銘を受け、人間椅子への加入を決めた。 (わじま しんじ) ・( -) 生まれ、出身。 愛称は「ワジー」、メンバーは「和嶋君」と呼んでいる。 オカルト雑誌『』を愛読している。 一時期菜食主義者であった が、体重・筋力の激減により頓挫したとのこと。 自作エフェクターを使用。 音源ではや、ライブではも演奏する。 メンバー中で最も作詞を手がけることが多く、またいくつかの楽曲やアルバムのタイトルを命名するなど、世界観における支柱を担っている。 そのためインタビューの際、鈴木からアルバムや楽曲のコンセプトの解説を譲られるなど、人間椅子の精神的なリーダーともいえる存在である。 ボーカルでは朴訥かつ実直なスタイルで、長い台詞や落語を語ることも。 (すずき けんいち) ・( -) 生まれ、出身。 愛称は「研ちゃん」、中学時代は「スズケン」と呼ばれていた。 パチンコ・鉄道・甘いもの・・虫が好き。 毎年ねぷたの時期には弘前に帰省するため、その時期には基本的に人間椅子の活動は入らない。 作曲数は和嶋とほぼ同数。 デビュー時にねずみ男のような衣装を着用していたことが、バンドの異端なヴィジュアルと王道なサウンドのギャップが注目されるきっかけとなったため、文字通りに人間椅子の顔とも呼べる存在である。 ボーカルでは、を効かせたダミ声で、不気味な笑い声や叫び声、うめき声なども担当している。 (なかじま のぶ) 第四期・( -) 生まれ、出身。 本名は中島慶信(なかじま よしのぶ)、愛称は「ノブ」あるいは「ノブさん」、「アニキ」、「ダムさん」。 高円寺で生まれ育つ。 ハンバーグや肉、ダムが好き。 シャイな歴代のドラマーと比較して、もっとも明朗かつ陽気な性格。 楽曲の各所でを鳴らす。 オリジナルメンバーではないとはいえ、ライブのブッキングやリハーサルのスケジュール管理を担当しており、人間椅子のマネージャーとも呼べる存在である。 タイトな練習スケジュールを組むことでも知られるが、加入後は人間椅子のライブ回数増加の担い手となった。 ボーカルでは、野太くエネルギッシュで、明朗なロックチューンを担当することが多い。 「他の二人にはない」(和嶋談)、「に似ている」(鈴木談)と評されている。 元メンバー [ ] 上館徳芳 (かみだて のりよし) 第一期ドラムス( - ) 生まれ、出身。 に影響を受けており、重いタイム感と抑制された手数で、鈴木のうねるベースラインと合致したコンビネーションを見せた。 バンド在籍中、作詞・作曲には関与しなかった。 (ごとう ますひろ) サポートドラムス( - )、第三期ドラムス( - ) 生まれ、出身。 本名は後藤升宏。 他の歴任者と比較して手数足数が非常に多く、人間椅子の持つプログレ的感触をたくみに引き出すのみならず、スローなナンバーにおいても不即不離のまま躍動感や細かなニュアンスを付加するなど、音楽性への貢献も大きかった。 脱退後、『』にサポート参加。 『』から『』まで正式メンバーとして参加し、いくつかのレパートリーの作曲やリードボーカルも取った。 その後引き継がれる「ドラムスが歌う」スタイルは『羅生門』収録の楽曲『』が嚆矢である。 現在は「金属恵比須」のドラマーとして活動中。 同時期になどで活躍した氏のとなる。 ,&プロスティテュート、、など実力派ミュージシャンと数々のを作成、セッションを行った。 独特の味わいが濃く、和太鼓のような溜めを効かせたプレイで参加作品に特に色濃かった「見世物」や「和」の要素を演出した。 『』『』の二作に参加。 『踊る一寸法師』収録曲の『三十歳』では作詞の一部およびリードボーカルの一部も担当している。 バンド名の由来 [ ] の短編小説『』に由来している。 和嶋・鈴木の愛読書であった。 ブラック・サバスの暗鬱なイメージを踏襲しつつ、あえてロックバンドの主流ともいえる外来語は避け、歌詞の世界観にふさわしい日本語、という条件の下選ばれた。 結成当初は、特撮番組の敵組織「」を由来とした「 死ね死ね団」というバンド名であったが、「大日本帝国初代新所沢愚連隊死ね死ね団」というバンドが存在していることを知り 、すぐさま「 人間椅子」へと改名する。 なお他のバンド名候補として、同じく江戸川乱歩の小説『二銭銅貨』『心理試験』『ペテン師と空気男』『鏡地獄』があった。 音楽性とコンセプト [ ] ・を基調としながらも、ドゥームメタルと類似する点を持った、それにのせたの歌詞や歌唱法といった独特の特徴がある。 鈴木・和嶋両人が熱心なファンだというを彷彿とさせるハードロックが基調である。 技術的には一音半下げのを多用したヘヴィかつ緻密なリフ、スリーピースのサウンドを埋めるように重くうねるベースライン、のハードロックバンドを想起させる起伏に富んだ楽曲展開、ハードロックよりも寄りのミッド〜スロー・テンポの多用などが特徴として挙げられる。 また、由来のの援用や和音階の絡めるなど、郷土の青森、ひいては日本の風土からの影響を色濃く受けている。 いわば、和魂洋才とも形容できる音楽性とバンドコンセプトである。 また、洋楽を踏襲した本格派の音楽性を意図しているがゆえに、日本の音楽シーンにおいてはその個性が色物のように扱われる結果となったことは、自他共に認めている点である。 奇正のギャップ、およびその兼ね合わせとバランスが特徴ともいえる。 しかし、近年はサブカルの台頭によって和風ロックバンドが増加し、人間椅子のコンセプトがそれに分類される、もしくは自称していることも多い。 5thアルバムから、楽曲とアートワークがすべてセルフプロデュースによって制作されるようになった。 作詞・作曲は主に和嶋と鈴木の二人が中心で、たびたび両者の合作も行われる。 和嶋はたゆまず音楽性を変化・進化させること、つまり流動性と進歩性を重視している一方、鈴木は「ヘヴィメタルは変わっちゃいけない」という不変性と保守性を重視している。 一見、相反する両者のスタンスだが、この違いが人間椅子の音楽性に好転的な化学反応をもたらしていることは両者も認めているところである。 作曲者以外がを担当することも多く、和嶋が作詞・作曲した楽曲『』や『』をナカジマノブが歌っている。 ちなみにドラムスがボーカルを担当するスタイルは、後藤マスヒロがサポート参加していた頃の『』に端を発している。 影響 [ ] 受けた影響 [ ] 影響を受けたハードロックでは、楽曲『』を和嶋のオリジナル歌詞に差し替えて『』としてカバーした、ライブで度々カヴァーを演奏しているやなどがある。 やの要素も大きな割合を占め、重鎮のような楽曲構成や独特の(和嶋が影響と公言)にくわえ、やなどをはじめとしたサイケの陶酔感やスペース・ロック的な意匠を用いることもある。 先逹のアプローチをオマージュとして取り上げることも多く、ブラック・サバスばりのオーヴァーダブされたギターソロやキング・クリムゾン的なアルペジオも曲中に登場する。 オールディーズなロックの様々な要素を独特の解釈でミックスしたものとなっており、いくつものアプローチを使い分け組み合わせてている。 鈴木は自身のルーツについて、「ベースはやっぱ(の)が大きくて、動きは(の)のつもりなんです。 自分としてはちょっと(の)も入ってるかなって。 」と語っている。 与えた影響 [ ] スタジオミュージシャンとして活動してきたは、中学3年生の時に鈴木のベースサウンドを聴いて衝撃を受け、その音が出したくてベースを始めたと述べている。 2014年からたびたび対バンを行なっているバンドでベース・ボーカルを担当するマーガレット廣井は、人間椅子の音楽性に影響を受けていることを公言している。 は、「人間椅子になりたい」という夢から結成されたプログレッシヴロックバンドであり 、2015年には、実際に人間椅子の元ドラマーである後藤マスヒロを正式に加入させた。 でベース・ボーカルを担当するは、日本的なロックの先達として人間椅子を挙げている。 歌詞 [ ] 大別して和嶋作か鈴木作かによるが、共通するのは津軽弁などによって醸しだされる土着性、グロテスクな表現、とぼけたユーモア、宇宙や地獄などの非日常的なテーマという点が挙げられる。 アルバムのタイトルにもなっているように「怪談・死・エロス」に関連した楽曲も多く、これらは和嶋と鈴木が幼いころより触れていたの絵と同様のテーマである。 世界観は総じて日本的だが、宗教、歴史、恐怖、などのな題材という点では、むしろ海外のハードロック・ヘヴィメタルのスタイルを踏襲しているといえる。 そのため極めて日本的なテーマを扱いながらも、ラブソングが主流の日本の音楽シーンにおいては、極めて特異な個性をもつバンドとして知られるというパラドックスが起きる結果となった。 音楽性やサウンドについては長期間活動しているバンドのなかでも稀有な一貫性を保っているが、和嶋も述べているように、2011年の、2013年のオズフェスト出演をきっかけとして、歌詞においては変化がみられるようになった。 それまでは退廃的かつ堕落的な題材を歌詞にすることによって、逆説的にを与えることを意図した楽曲が多かった。 しかし近年では、従来のダークな世界観はそのまま踏襲しつつ、歌詞を達観的かつ高踏的な切り口にシフトすることにより、聴く者が直接的に昇華と悟りを得られることを目指した楽曲が増加した。 また、上館とナカジマは作詞経験がないが、土屋は『』で歌詞の一部を、後藤は『』を担当した。 和嶋 文体は文学的なものが多く、そのほとんどが明治〜大正期を中心としたに傾倒したものである。 や、などに造詣が深い。 その趣味の主な対象、しかもタイトル・歌詞に取り上げられたことのある作家は、や、、、、、、果ては国外のや、など多岐に渡る。 わけてもに対する敬意には並々ならぬものがあり、人間椅子の多くの作品の題材となっている。 思想においては、大学時代に専攻していた仏教を骨子としながら、的なもの、的な美、自虐的な観念世界、土俗的なナンセンス、哲学・・・について取り扱っており、超俗的なものに限定すれば至って幅広い。 哲学的にはを否定しており、特に近年ではやなどの立場から語られることが多い。 その表現は概して古色蒼然な調で、一聴しただけでは理解しづらいようなや、難読な仏教用語も交えて知性と文学性の一翼を担っている。 なかでも多様されているのが「」「」「おためごかし」「たゆたう」などの一般的ではない語彙である。 和嶋の思想の根幹としてはもちろん、仏教は日本的な世界観を担保するための要素の一つだが、海外のハードロック・メタルバンドがキリスト教的な概念を主軸としていることへの対比にもなっている。 なかでも『』や『』はキリスト教と仏教の概念が融合された楽曲である。 鈴木 和嶋とは対照的に軽妙でストレートなものが多いが、妖怪や霊威などの超常的恐怖、蟲、病魔や汚穢といった不気味なモチーフ、さらに(直接性を問わず)淫靡な言葉などが加わって、柔らかくユーモラスなだけにとどまらない独特な言い回しとなっている。 特筆すべきは地獄をタイトルに冠した楽曲が多いことで、それらは「地獄シリーズ」と呼ばれている。 鈴木によれば「キリスト教のが解らないから、仏教の地獄を歌っている」のだとか。 その他には「一日一度は台に座らないと気がすまない」と公言するなどの趣味、ナンセンスなブラックジョーク(和嶋いわく「プラクティカル・ジョーク」)をテーマとすることも。 また和嶋とは対照的なのが、歌詞の切り口には変遷が見られないことである。 ヴィジュアル [ ] なかでも特筆すべきは、おおよそロックバンドらしからぬ奇をてらった衣装・メイクなどのヴィジュアルである。 現在はメンバー全員が和装で統一している。 デビュー以来、多様な衣装を着用して紆余曲折を経たが、現在まで共通しているのは非日常的な装束であることが多いという点である。 なおメンバー全員がステージ衣装の下にふんどしを着用している。 鈴木 デビュー時はのような衣装がトレードマークであったが、強烈な印象に反して着用していたのはごく短期間である。 ジェネシス時代のを意識しており 、使い古して灰色になった鈴木の布団の敷布で作ったのだとか。 1990年の『』発売した頃から顔を白塗りメイクにするが、それが現在までの彼の一貫したヴィジュアルとなった。 それ以降は、短髪から徐々に伸びていった長髪を振り乱すパフォーマンス、多様ながらも和服をメインとした衣装が定着していた。 しかし、2006年の『』のPVから坊主頭(スキンヘッド)になり、白塗りに加え法衣に身を包むという、怪僧のようなスタイルが通常となった。 法衣は、白衣の上にシースルーの黒い布袍を着用。 裸足もしくは草履、下着は白の褌を着用し、全身をの装いで揃えている。 また白塗りといっても単調なものではなく、頬や鼻筋は灰色、目元と唇は黒色という不健康さを醸し出した独特のメイクアップとなっている。 和嶋 デビュー時は作務衣や洋装など、様々なスタイルをとっていた。 2001年の『』のPVでは、ウンモ星人を意識した銀色の全身タイツで出演した。 2006年の『』のPVに着物で出演してからは和装が定着し、現在は浴衣に袴、丸眼鏡、草履といった明治・大正期のを思わせるスタイルで統一している。 着物は数種類あり、ライブ毎に異なっている。 和嶋工務店など、ほかのバンドやユニットでステージに立つ際は基本的にこの衣装を着ることはない。 1990年代中盤から現在までヒゲを蓄えている。 デビュー時から髪を伸ばし、しばらくはウェーブのかかった長髪が定着していたが、2000年の『』の頃から散切りの短髪となった。 2012年頃からは再び髪を伸ばし、長髪のオールバックを経て、現在は(ポニーテール)に至った。 これらの和服に白髭と長い白髪という風貌が、たびたび「仙人」と形容される所以となっている。 形態に変化はあるが、一貫して眼鏡を着用している。 また、インタビュー時などはライブやPVなどの表舞台とは異なる形態の眼鏡をかけていることが多い。 ライブでのアンコール時に必ず、イカ天出演時にも着用していた手作りのを衣装としている。 これは中学2年生の時に母親に縫って貰ったものである。 ナカジマ 加入時から鯉口シャツ(手ぬぐいを素材としたオーダーメイドが中心)に色眼鏡、リーゼントというもしくはのようなスタイルが基本である。 PVやアー写などによっては着流しの場合もある。 ライブパフォーマンス [ ] ライブでは、開場から開演までの間、メンバーが選曲した他のバンドの曲などが流れる。 開演時には自作のSE(2011年頃までは和嶋が10代の頃に作ったSE、2018年頃までは『此岸御詠歌』というオリジナル曲(『』収録)、2019年からは「新青年まえがき」(『』収録))が流され、舞台下手からメンバーが登場する。 現在のライブでの使用楽器は、和嶋はギブソンおよびのSGが中心。 自作のエフェクターを多用する。 友人に作成してもらったオリジナルの琵琶ギター、楽曲によってはを使用することも。 鈴木はB. リッチ イーグルを使用しており、デビュー当時使用していたリッケンバッカーは、2010年頃一時使用していたがその後見かけなくなった。 MCは基本的に、和嶋と鈴木がチューニングをしながら会話し、そこに時折ナカジマが加わるスタイルで行われる。 会話の流れやふと弾いたリフから、彼らの愛好するハードロック等のカヴァーになだれ込むこともたまにある。 MCの内容は、鈴木による「こんばんは人間椅子です」の言葉に始まり、雨の中(または平日に)来場したファンへの気遣いの言葉(主に鈴木による)、和嶋と鈴木の褒め合い、弘前ねぷた事情、和嶋のオカルト体験談、鈴木の体重についての話、ナカジマの趣味であるダム巡り等、多岐に渡る。 ナカジマはMCで「イエーイ! 」を連発、大きな声を活かしてマイク無しでMCを行ったり、半裸で演奏を行うなどのステージングをこなす。 ちなみに、バスドラのフロントに書かれた絵や文字はナカジマ自身の手によるもの。 鈴木は1回のライブ中に数回ピック(黒のオムスビ形で、人間椅子ロゴと鬼火が描かれているものなどを使用)を客席に投げるが、和嶋(グレコのオムスビ形、白地に黒字で人間椅子のロゴ入り)は基本的に投げず、アンコール後退場する際に、近くにいるファンにそっと手渡されることが多い。 ナカジマもまれにドラムスティックを客席に投げ入れることがある。 アンコールでは、メンバーがツアーTシャツを着て現れることが多い。 頭に人間椅子手ぬぐいを巻いていることも。 特筆すべきは鈴木の演出だが、その模様はライブDVD『』にも収録されている。 メンバー同士で楽器パートの交換をして演奏することもある。 ライブの物販では、Tシャツの他、手ぬぐい、お札、CD(購入するとサイン色紙がもらえることも)などが販売されている。 バンド活動 [ ] ファーストアルバムの発売後はバンドブームが衰退の一途を辿り、人間椅子のセールスも低迷しはじめていたため、レコード会社からはボーカルを加入させることや売れ線の曲を作ることを提案されたが、和嶋と鈴木はそれを拒否した。 、4thアルバムの『』の発売後は、メルダックとの契約が切れてインディーズレーベルに移籍し、それと同時に和嶋と鈴木はバンドとアルバイト生活を両立させる決意をする。 和嶋は弁当のバイク配達、パソコンの回収と納品、ライブハウスの手伝い、流通センターでの肉体労働などを経て、までの16年間アルバイトをしていた。 鈴木に至っては、郵便局の配達員としてまでの23年間アルバイト生活を続けていた。 バンドとアルバイトの二重生活を強いられてはいたが、人間椅子は一度たりとも活動を休止したことはなかった。 それに加え毎年のようにアルバムも制作していることから、ただ長期に渡って活動しているという点だけではなく、商業性を否定してでも独自の音楽性を追求し続けたことが、バンドの大きな特徴であるともいえる。 また、に至ってセールスやライブ動員の向上し、に発売された20thアルバム『』がオリコンチャート18位にランクインというバンド史上最高の順位となり、バンド生活が25周年を越えてから「絶頂期」と称されていることも含め、人間椅子の特殊性が音楽性のみならず、その活動自体にあることも評価対象の一つとなっている。 エピソード [ ]• これは審査員側、バンド側の双方にとって大変迷惑なことであったという。 ちなみにチャレンジャーにはが選ばれている。 バンド名の候補にもなった江戸川乱歩の小説『ペテン師と空気男』は、ベストアルバムの題名となった。 当アルバムのライナーノーツにおいて和嶋は、鈴木を「ペテン師」、自らを「空気男」であると位置づけている。 当時、に出演したが、テレフォンショッキングのコーナーで、最近のお気に入りバンド、として人間椅子を紹介し、1stアルバムのCDをにプレゼントした。 仏教的な曲が多いことから、人間椅子のファンは「」(だんか:寺に属し、寺を支援する家)と呼ばれている。 和嶋はライブのMCではたびたび心霊、UFO、陰謀論をはじめとしたオカルトにまつわる体験談や思想を披露するが、和嶋の話に熱が入り始めたところで鈴木が根本的なツッコミを入れて笑いを誘うのが定番となっている。 作品 [ ] アルバム [ ] オリジナルアルバム [ ] 発売日 タイトル 読み ギター ベース ドラムス 備考 にんげんいす 和嶋慎治 鈴木研一 上館徳芳 インディーズ盤。 圏外 1st にんげんしっかく CD版以外にカセットテープ版がある。 31位 2nd さくらのもりのまんかいのした 57位 3rd おうごんのよあけ 4th らしょうもん 後藤マスヒロ 5th おどるいっすんぼうし 土屋巌 フライハイトより発売。 6th むげんのじゅうにん ポニーキャニオンより発売。 7th たいはいげいじゅつてん 後藤マスヒロ 8th にじゅっせいきそうそうきょく 9th かいじんにじゅうめんそう 10th みしらぬせかい 11th しゅらばやし 140位 12th さんあくどうちゅうひざくりげ ナカジマノブ 206位 13th ふーちーくー 244位 14th まなつのよるのゆめ 178位 15th みらいろまんは 96位 16th しがんらいさん ベスト盤を含めて通算20枚目。 全収録曲の英訳詞をブックレットに掲載。 ライブアルバム [ ] 発売日 タイトル ギター ベース ドラムス 備考 1st 和嶋慎治 鈴木研一 ナカジマノブ 2nd 参加アルバム [ ] 発売日 タイトル・収録曲 アーティスト 備考 IKA-NIGHT TEN-NIGHT LIVE AT MZA 4. 人間失格 オムニバス 「」のアルバム。 Meldac ROCK FAIR '90-'91 りんごの泪 針の山 オムニバス メルダック所属アーティストの販促CD。 MiYOU 9. 遺言 10. 天国なんか(Album version) 11. ロンリネス(Live) みうらじゅんがプロデュース。 9: 和嶋がギターを演奏。 10:和嶋と鈴木がコーラスを担当。 11:和嶋が「シーモンキーズ」としてギターを演奏。 戀~いとしい、いとしいと言う心 11. 天国に結ぶ恋 オムニバス 演奏は『』収録のものと同様。 もうがまんできない 9. メシ喰うな 10. 屋根の上の猫 3:大合唱に参加。 9:編曲・演奏を担当。 10:後藤マスヒロがドラムを担当。 (大槻ケンヂのソロプロジェクト) 「」としての楽曲。 作曲・編曲・演奏。 りんごの泪 オムニバス イカ天のアルバム。 青春ノイローゼ 1974-1999 1. 微熱が続いた夜 12. アイデン&ティティ 18. カリフォルニアの青いバカ 1:『』収録と同バージョン。 5:和嶋がギターを演奏。 12:作曲・編曲・演奏。 15:和嶋がギターを演奏。 18:和嶋がギターを演奏。 オムニバス 「&人間椅子」としてのカバー曲が 収録。 シングル [ ] 発売日 タイトル・収録曲 形態 初収録アルバム 備考 1st 夜叉ヶ池 夜叉ヶ池 人面瘡 8cmCD 2nd 幸福のねじ 幸福のねじ 平成朝ぼらけ 8cmCD 3rd もっと光を! もっと光を! なまけ者の人生[シングルバージョン] 大予言[ボーナストラック] もっと光を![カラオケ] 8cmCD 4th 刀と鞘 刀と鞘 桜下音頭 桜下音頭[カラオケ] 8cmCD - 泥の雨~ニンジャスレイヤーVer. 泥の雨~ニンジャスレイヤーVer. デジタル配信 アニメ『』20話エンディング曲。 初のアニメタイアップ。 5th 泥の雨 泥の雨 配信限定 7th 針の山 針の山 りんごの泪 アナログ7inch リマスター音源使用。 非売品のプロモーションシングル(カセット)も付録。 ビデオシングル [ ] 発売日 タイトル・収録曲 形態 備考 - VHS 「 with 人間椅子」としてのコラボシングル。 劇伴 [ ] テレビドラマ [ ]• ( - 放送) - 書き下ろしのBGMのみならず、既存の楽曲の新録およびアレンジが使用されることも (例:『陰獣』『相剋の家』『どっとはらい』『新調きゅらきゅら節』『宇宙からの色』『菊花の数え唄』など)。 また第2話から最終話まで、劇中に人間椅子のヴィジュアルをそのまま模した3人の妖怪が登場している(和嶋似の妖怪役:白畑真逸、鈴木似の妖怪役:、ナカジマ似の妖怪役:)。 未発表曲 [ ] 主に高校時代。 後に青森県ローカルのテレビ番組「人間椅子倶楽部」にて披露された。 御伽姫 - 和嶋作曲。 鈴木をして「進む道を誤ったかもしれない」と言わしめた佳曲で、フォーク調のラブソング。 デーモン - 鈴木作曲。 倫理教師だった友人の父の蔵書から歌詞を引用。 後の『』と『』のリフに発展したという。 赤い月 - 和嶋作曲。 現在の人間椅子の楽曲の片鱗を覗かせる楽曲。 現在でも和嶋が所有している作曲ノートに記録されている。 その他には『わたしのややこ』『Big Fat Mama』『造反有理』『夏の墓場』『猿面冠者』『反剋の使徒』『薬の唄』『Dr. Crippen』『(仮)男はつらいよ』『充血』『包帯の女』『マッチ売りの少女』『青森640のテーマ』『追跡と脱走のサンバ』『メンバー紹介唄』『セピア色の思い出』『夢女』『14歳』『僕はチキン』『美・美・美・美・美・美・美・美佐子』『死ね死ね団のテーマ』『ワイルド娘』『君忘れじの田舎館村』『阿Q正伝』など。 天国に結ぶ恋 2. あやかしの鼓 4. 神経症 I LOVE YOU 5. ヘヴィ・メタルの逆襲 7. VHS 5: のカバー。 7: のカバー。 怪人二十面相 怪人二十面相[PV] PVメイキング映像 アルバム『怪人二十面相』15秒CM アルバム『怪人二十面相』30秒CM VHS 見知らぬ世界 プロモーションビデオ 見知らぬ世界 幽霊列車 LIVE映像(青森県田舎館村ライブ「青森ロック大臣」、) 1. 幸福のねじ 2. りんごの泪 3. 怪人二十面相 4. 亜麻色のスカーフ 5. 屋根裏のねぷた祭り 6. 村の外れでビッグバン 7. どだればち 8. 莫迦酔狂ひ 9. 地獄 10. 天国に結ぶ恋 2. あやかしの鼓 4. 神経症 I LOVE YOU 5. ヘヴィ・メタルの逆襲 7. 7: のカバー。 見知らぬ世界 プロモーションビデオ 見知らぬ世界 幽霊列車 LIVE映像(青森県田舎館村ライブ「青森ロック大臣」、) 1. 幸福のねじ 2. りんごの泪 3. 怪人二十面相 4. 亜麻色のスカーフ 5. 屋根裏のねぷた祭り 6. 村の外れでビッグバン 7. どだればち 8. 莫迦酔狂ひ 9. 地獄 10. 地獄風景 おまけ 都会の童話 東洋の魔女[PV] 洗礼[PV] DVD 苦しみも喜びも夢なればこそ「現世は夢~バンド生活二十五年~」渋谷公会堂公演 LIVE映像(、) 1. 宇宙からの色 2. 地獄への招待状 3. 新調きゅらきゅきゅ節 4. ねぷたのもんどり 5. 神経症I love you 6. 桜の森の満開の下 7. 今昔聖 8. 洗礼 9. 悪徳の栄え 10. 冥土喫茶 11. 深淵 12. 蜘蛛の糸 13. 地獄の料理人 14. 迷信 15. 針の山 16. 陰獣 17. 見知らぬ世界 18. りんごの泪(1990年) 2. 夜叉ヶ池(1991年) 3. ギリギリ・ハイウェイ(1995年) 4. ダイナマイト(1995年) 5. 幽霊列車(1999年) 6. 怪人二十面相(2000年) 7. 見知らぬ世界(2001年) 8. 東洋の魔女(2003年) 9. 洗礼(2004年) 10. 品川心中(2006年) 11. 浪漫派宣言(2009年) 12. なまはげ(2014年) 13. 宇宙からの色(2014年) 14. 恐怖の大王(2016年) 15. 虚無の声(2017年) 16. 2 「参鶏湯」の回にメンバー全員が登場 DVD 書籍 [ ] 発売日 タイトル 出版 備考 イカ天年鑑(平成元年編) 「」の年鑑。 人間椅子はカラーで1ページ掲載されている。 バンド・スコア 人間椅子「人間失格」 現在では廃盤。 軽薄ピエロ の著作。 ZEP的ハードロック不完全論」にインタビューが15ページ掲載されている。 月喰ウ蟲 の著作。 表題作には鈴木が出演、巻末には和嶋による解説が掲載されている。 グレイト余生 の著作。 各所に人間椅子についての記述がある。 ブリティッシュ・ハード・ロック シンコーミュージック 和嶋と鈴木によるディスクレビューが掲載されている。 みうらじゅん全一巻 みうらじゅんの著作。 各所に人間椅子についての記述がある。 バンド・スコア 人間椅子傑作譜面集 シンコーミュージック 初期から近年までの全11曲の楽譜が掲載されている。 初級六弦教典〜ロック・ギター道場2014〜 シンコーミュージック 和嶋が弾き方を伝授する特集があり、写真入りで解説。 付録DVDとも連動している。 和嶋慎治 自作エフェクターの書「歪」 シンコーミュージック 和嶋の自作エフェクターの解説。 プリント基板が付録されている。 屈折くん シンコーミュージック 和嶋による初の書き下ろし自伝。 人間椅子の歴史も述べられている。 3月8日 神戸 Chicken George 3月10日 大阪 梅田 AKASO 3月12日 名古屋 Electric Lady Land 3月14日 山梨 甲府 KAZOO HALL 3月17日 札幌 CUBE GARDEN 3月19日 青森 Quarter 3月22日 千葉 LOOK 3月25日 赤坂 BLITZ - 異次元からの咆哮~リリース記念ワンマンツアー~ 6月22日金沢GOLD CREEK 6月24日長野JUNK BOX 6月26日いわきclub SONIC iwaki 6月28日青森Quarter 6月30日仙台 CLUB JUNK BOX 7月3日札幌 PENNY LANE 24 7月8日名古屋 Electric Lady Land 7月10日大阪 umeda TRAD 7月12日高松 OLIVE HALL 7月14日神戸 CHICKEN GEORGE 7月16日博多 DRUM Be-1 7月18日 沖縄 桜坂Central 7月22日渋谷 TSUTAYA O-EAST 金沢、長野、仙台は振替公演 参加イベント [ ]• 5月12日 - Ozzfest Japan 2013 9月14日 - 青森県野外フェス「夏の魔物」 11月3日 - LIVE DVD 発売記念ツアー「四半世紀中」• 9月5日 - 鬱フェス 2015 9月7日 - MERRY 対バンツアー「Grateful Year 2015『NOnsenSe MARkeT 2F』」 10月31日 - HEADBANG HELL ON EARTH Vol. 1 11月22日 - Ozzfest Japan 2015• 3月25日 - ギターサンダーボルト「忍」 8月6日 - ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016 8月13日 - RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO 9月16日 - 夏の魔物現象2016 12月4日 - 「馬場の音フェス」~狂宴乱舞~• 4月29日 - ARABAKI ROCK FEST. 4月27日 - ARABAKI ROCK FEST. 19 6月16日 - やついフェス2019 8月10日 - ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019 8月22日 - 十二代目梅雨将軍2man series「天下の将軍」 9月22日 - 霞ヶ浦KOHANロック2019 9月24日 - LEO今井自主企画ツーマン「大都会ツアー」東京公演 10月9日 - ハードコアチョコレートフェスー殺戮の20周年ー 11月3日 - メトロノーム FEST. 1月13日 - バックドロップシンデレラ「トントン拍子でウンザウンザを踊るツアー」 6月20日 - やついフェス2020 9月6日 - 「夏の魔物2020 in OSAKA 大阪・味園ユニバース」 タイアップ [ ] 楽曲 タイアップ先 芋虫 18禁アドベンチャーゲーム「」エンディング(2001年3月30日発売) 泥の雨~ニンジャスレイヤーVer. アニメ「」20話エンディング曲 命売ります 連続ドラマ「」主題歌(放送開始予定) 出演 [ ] テレビ番組 [ ]• 第1期 人間椅子倶楽部( - 、毎週日曜24:30 - 25:00、) 東京のスタジオに青森のスタッフを呼んで収録していたが、和嶋の一時的な弘前帰郷にしたがって、第71回からライブハウス「亀HOUSE」(現在は閉鎖)にてメンバーを引き連れての収録となった。 和嶋、鈴木、土屋、後藤がレギュラー出演。 独特のスローペースなゆるさが特徴。 内容は主にメンバーによるフリートーク(視聴者からの葉書が読まれることもあった)やロケなど。 第100回まで放送。 第2期 人間椅子倶楽部( - 、毎週日曜24:30 - 25:00、) 弘前のライブハウス「MAG-NET」にて収録。 和嶋、鈴木、後藤がレギュラー出演。 前半のフリートークに加え、後半はスタジオでのカヴァー楽曲の演奏という構成となった。 第1期、第2期ともに番組提供は「宮園耳鼻科クリニック(弘前市内の耳鼻科。 院長はライブハウス「亀HOUSE」のオーナーだった)」、「ふくし耳鼻科(青森市の耳鼻科)」だった。 伝説音舗〜うれる堂〜(2000年7月23日 )• (2018年3月19日 )• (2018年4月13日 )• (2018年10月22日、26日 ) - 番組内コーナー「サウンドファイターズ」に鈴木が出演、対戦相手は。 以後、和嶋vsのKANAMIなど複数回出演。 (2019年5月27日 - 5月31日 )• (2020年1月12日、) - 和嶋がゲスト出演。 ネット番組 [ ]• 帰ってきた人間椅子倶楽部( - 、) 人間椅子倶楽部の復活版。 2017年現在で、Vol. 06まで放送されている。 和嶋、鈴木、ナカジマがレギュラー出演。 テレビ放送時代と同じく、前半はメンバーのフリートーク、後半は即興演奏という構成のみならず、従来のゆるさと和やかさも健在。 ラジオ番組 [ ]• M 2 HOUSE(2月、、)• 青森ロック大臣(10月 - 2001年、、)• 人間椅子の遺言状放送(3月、)• 人間椅子劇場(11月 - 1月、) 映画 [ ]• (2003年12月20日公開) - みうらじゅん原作の漫画の映画化。 主人公は和嶋がモデル、主人公のバンドは人間椅子がモチーフとなっている。 オープニングにコメンテーターとして和嶋が登場し、鈴木、後藤の姿も出演している。 WEB連載 [ ]• - 和嶋によるコラム。 Webロックマガジンにて2009年10月15日より2014年12月5日まで連載。 - 和嶋によるコラム・ブックレビュー。 書評サイトにて2015年7月23日より連載。 - 鈴木によるコラム。 BARKSにて2016年4月7日より連載。 - ナカジマによるコラム。 音楽系エンタメサイト「」にて2016年2月4日より連載。 雑誌 [ ]• - ナカジマによる「エンジーかけこみ寺っ!! 」連載あり。 VOL. 22、VOL. 62ではメンバー全員が表紙に登場した。 脚注 [ ]• - ナタリー ナターシャ ・2014年3月20日閲覧。 Qetic・2017年10月23日閲覧• , p. 43,48,49,54. , p. 89,90. , p. , p. , p. 97,98. , p. 109,110. 2015年5月6日閲覧。 和嶋自身による『ペテン師と空気男』ライナーより• 2000年10月29日 青森県 田舎館村役場文化会館で行われた「青森ロック大臣」放送開始記念ライヴのMCにて• この番組では、審査員たちは出場したバンドに対し、手元にある赤ランプを点灯することで演奏を中断させることができ、また逆に青ランプを点灯して演奏を続行させることもできた。 - Real Sound|リアルサウンド・2017年10月23日閲覧• - 音楽ナタリー 特集・インタビュー・2017年10月23日閲覧• ももクロ侍・2017年10月22日閲覧。 音楽ナタリー 2015年8月28日. 2015年8月28日閲覧。 ORICON NEWS・2017年12月21日更新。 billboard Japan・2019年6月26日• Rock is・2019年8月25日• Web Rock Magazine BEEAST・2017年11月22日閲覧。 , p. 139. 関西テレビ『』緊急討論 超常現象あるのかないのか!? SP - 2015年5月8日放送。 共演していた大槻ケンヂが「和嶋さんがね、もうすごい菜食主義者なんですよ」と発言し、それに対し和嶋本人が「僕ベジタリアンです」と答えた。 シンコーミュージック発行「」内の「和嶋慎治の野営一人旅」の第4回での記載(2015年)• , p. 108,109. , p. 109. - CDJournal CDJ PUSH・2017年10月28日閲覧。 土屋恵介 2014年8月20日. 2018年9月8日閲覧。 関口佳代 2017年8月2日. 2018年9月8日閲覧。 - インタビュー Rooftop・2017年11月1日更新• SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス・2017年11月13日閲覧。 - Real Sound|リアルサウンド・2017年11月12日閲覧。 - 音楽ナタリー・2017年10月28日閲覧• ロケットニュース24・2017年10月29日閲覧。 TOCANA・2019年6月11日閲覧。 - エキサイトニュース・2017年10月29日閲覧。 SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス・2017年10月30日閲覧。 , p. , p. 138,139. , p. 142. - トレンドニュース・2017年10月29日閲覧。 ロケットニュース24・2017年10月29日閲覧。 - 日刊オレラ・2017年10月29日閲覧。 2019年12月18日閲覧。 2019年12月18日閲覧。 ロケットニュース24• ORICON NEWS. 2020年1月30日閲覧。 テレビ東京・BSテレ東 7ch 公式. 2020年1月30日閲覧。 テレビ東京・BSテレ東 7ch 公式. 2020年1月30日閲覧。 音楽ナタリー 2018年10月16日. 2020年3月15日閲覧。 音楽ナタリー 2019年1月17日. 2020年3月15日閲覧。 音楽ナタリー 2019年2月15日. 2020年3月15日閲覧。 音楽ナタリー 2019年11月25日. 2020年3月15日閲覧。 音楽ナタリー 2019年12月3日. 2020年3月15日閲覧。 テレビ神奈川. 2020年2月20日閲覧。 音楽ナタリー 2020年1月2日. 2020年1月12日閲覧。 - エキサイトニュース• , p. 222,223. 参考文献 [ ]• 和嶋慎治『屈折くん』シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年2月9日。 関連項目 [ ] が多すぎます。 関連の深い項目だけに絞ってください。 必要ならばとして独立させることも検討してください。 ( 2020年1月)• - 所属レーベル。 - 人間椅子はこの番組からデビューした。 - 鈴木・和嶋両人はグレコ製の楽器を使用している。 - プライベートでも和嶋との親交が深く、楽曲でのコラボを果たしているほか、和嶋の自伝等での対談も行なっている。 人間椅子として毎年恒例の「みうらじゅん賞」を受賞したこともある。 - 特に親交の深いバンドで、江戸川乱歩とキングクリムゾンに影響されたという共通点をもつ。 大槻・内田両名が人間椅子のライブに参加するなど、たびたび楽曲でのコラボを披露している。 テレビ番組「人間椅子倶楽部」に、大槻、内田、がゲスト出演したことがある。 にはバンドとして初のコラボを果たし、シングル『』をリリースした。 - 筋肉少女帯のボーカル。 人間椅子とみうらじゅんの共作である。 バンドや楽曲におけるコラボについては、『』『』『』を参照。 鈴木から「和嶋と大槻くんは似ている」と言われるように、文学・オカルト・仏教好き、神経質になりがち、物事を誇張して捉えがちという共通点があるとか。 - 筋肉少女帯のベース。 に放送されたの番組にて、「大槻ケンヂ+人間椅子01」のギター・コーラスとして『』を演奏した。 また、楽曲『』において曲中の台詞を担当している。 - みうら、人間椅子、大槻のコラボによる企画バンド。 1992年に日本テレビで放送された番組にて結成され、和嶋と鈴木の作曲による『君は千手観音』を披露した。 - アルバム『MiYOU』などに参加。 和嶋とみうらじゅんとともに「シーモンキーズ」としての活動も行っていた。 - 親交が深い漫画家で、稀にマンガに人間椅子が登場する。 和嶋をモデルとした主人公が登場する短編も。 - アルバム『照魔鏡』に鈴木がベースで参加。 - のインタビューによれば、ファン層がかぶっているとのこと。 和嶋がたびたびギター演奏やサウンドトラックの楽曲提供などを行なっている。 じろう - 人間椅子のファンであり同郷。 保育園から高校まで和嶋と同じだったという縁から、たびたび対談を行っている。 - 人間椅子のファン。 鈴木と同じく外国語学部ロシア語学科の出身。 和嶋が『』に収録された楽曲『冥界通信~慕情編~』を提供した。

次の

人間椅子

人間 椅子

佳子 ( よしこ )は、毎朝、夫の 登庁 ( とうちょう )を見送って 了 ( しま )うと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、とじ 籠 ( こも )るのが例になっていた。 そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。 美しい 閨秀 ( けいしゅう )作家としての彼女は、 此 ( こ )の 頃 ( ごろ )では、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。 彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。 今朝 ( けさ )とても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、 先 ( ま )ず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。 それは 何 ( いず )れも、 極 ( きま )り切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい 心遣 ( こころづか )いから、どの様な手紙であろうとも、自分に 宛 ( あて )られたものは、 兎 ( と )も 角 ( かく )も、一通りは読んで見ることにしていた。 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。 別段通知の手紙は 貰 ( もら )っていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。 それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題 丈 ( だけ )でも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。 それは、思った通り、原稿用紙を 綴 ( と )じたものであった。 が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。 ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。 そして、 持前 ( もちまえ )の好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。 奥様、 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、 此様 ( このよう )な 無躾 ( ぶしつけ )な御手紙を、差上げます罪を、 幾重 ( いくえ )にもお許し下さいませ。 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。 勿論 ( もちろん )、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。 若 ( も )し、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。 そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、 懺悔 ( ざんげ )しないではいられなくなりました。 ただ、かように申しましたばかりでは、色々 御不審 ( ごふしん )に 思召 ( おぼしめ )す点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。 そうすれば、 何故 ( なぜ )、私がそんな気持になったのか。 又何故、この告白を、 殊更 ( ことさら )奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、 悉 ( ことごと )く明白になるでございましょう。 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に 面 ( おも )はゆくて、筆の鈍るのを覚えます。 でも、迷っていても仕方がございません。 兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。 これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。 そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを 容 ( い )れて、私にお 逢 ( あ )い下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の 為 ( ため )に、 二 ( ふ )た目と見られぬ、ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、 堪 ( た )え 難 ( がた )いことでございます。 私という男は、何と因果な生れつきなのでありましょう。 そんな醜い容貌を持ちながら、胸の中では、人知れず、世にも 烈 ( はげ )しい情熱を、 燃 ( もや )していたのでございます。 私は、お 化 ( ばけ )のような顔をした、その上 極 ( ご )く貧乏な、一職人に過ぎない私の現実を忘れて、身の程知らぬ、甘美な、 贅沢 ( ぜいたく )な、種々様々の「夢」にあこがれていたのでございます。 私が若し、もっと豊な家に生れていましたなら、金銭の力によって、色々の遊戯に 耽 ( ふ )けり、 醜貌 ( しゅうぼう )のやるせなさを、まぎらすことが出来たでもありましょう。 それとも又、私に、もっと芸術的な天分が、与えられていましたなら、例えば美しい詩歌によって、 此世 ( このよ )の 味気 ( あじき )なさを、忘れることが出来たでもありましょう。 併 ( しか )し、不幸な私は、 何 ( いず )れの恵みにも浴することが出来ず、哀れな、一家具職人の子として、親譲りの仕事によって、 其日 ( そのひ )其日の暮しを、立てて行く 外 ( ほか )はないのでございました。 私の専門は、様々の 椅子 ( いす )を作ることでありました。 私の作った椅子は、どんな難しい註文主にも、きっと気に入るというので、商会でも、私には特別に目をかけて、仕事も、 上物 ( じょうもの )ばかりを、廻して 呉 ( く )れて居りました。 そんな上物になりますと、 凭 ( もた )れや 肘掛 ( ひじか )けの彫りものに、色々むずかしい註文があったり、クッションの 工合 ( ぐあい )、各部の寸法などに、微妙な好みがあったりして、それを作る者には、 一寸 ( ちょっと )素人の想像出来ない様な苦心が要るのでございますが、でも、苦心をすればした丈け、出来上った時の愉快というものはありません。 生意気を申す様ですけれど、その心持ちは、芸術家が立派な作品を完成した時の喜びにも、比ぶべきものではないかと存じます。 一つの椅子が出来上ると、私は先ず、自分で、それに腰かけて、坐り工合を試して見ます。 そして、味気ない職人生活の内にも、その時ばかりは、何とも云えぬ得意を感じるのでございます。 そこへは、どの様な高貴の方が、 或 ( あるい )はどの様な美しい方がおかけなさることか、こんな立派な椅子を、註文なさる程のお 邸 ( やしき )だから、そこには、きっと、この椅子にふさわしい、贅沢な部屋があるだろう。 壁間 ( かべ )には定めし、有名な画家の油絵が 懸 ( かか )り、天井からは、偉大な宝石の様な 装飾電燈 ( シャンデリヤ )が、さがっているに相違ない。 床には、高価な 絨氈 ( じゅうたん )が、敷きつめてあるだろう。 そして、この椅子の前のテーブルには、眼の醒める様な、西洋草花が、甘美な 薫 ( かおり )を放って、咲き乱れていることであろう。 そんな妄想に耽っていますと、何だかこう、自分が、その立派な部屋の 主 ( あるじ )にでもなった様な気がして、ほんの一瞬間ではありますけれど、何とも形容の出来ない、愉快な気持になるのでございます。 私の 果敢 ( はか )ない妄想は、 猶 ( なお )とめどもなく増長して参ります。 この私が、貧乏な、醜い、一職人に過ぎない私が、妄想の世界では、気高い貴公子になって、私の作った立派な椅子に、腰かけているのでございます。 そして、その 傍 ( かたわら )には、いつも私の夢に出て来る、美しい私の恋人が、におやかにほほえみながら、私の話に聞入って居ります。 そればかりではありません。 私は妄想の中で、その人と手をとり合って、甘い恋の 睦言 ( むつごと )を、 囁 ( ささや )き 交 ( かわ )しさえするのでございます。 ところが、いつの場合にも、私のこの、フーワリとした紫の夢は、 忽 ( たちま )ちにして、近所のお 上 ( かみ )さんの 姦 ( かしま )しい話声や、ヒステリーの様に泣き叫ぶ、 其辺 ( そのあたり )の 病児 ( びょうじ )の声に 妨 ( さまた )げられて、私の前には、又しても、醜い現実が、あの灰色のむくろをさらけ出すのでございます。 現実に立帰った私は、そこに、夢の貴公子とは似てもつかない、哀れにも醜い、自分自身の姿を 見出 ( みいだ )します。 そして、今の先、私にほほえみかけて呉れた、あの美しい人は。 ……そんなものが、全体どこにいるのでしょう。 その辺に、 埃 ( ほこり )まみれになって遊んでいる、汚らしい 子守 ( こもり )女でさえ、私なぞには、見向いても呉れはしないのでございます。 ただ一つ、私の作った椅子丈けが、今の夢の 名残 ( なご )りの様に、そこに、ポツネンと残って居ります。 でも、その椅子は、やがて、いずことも知れぬ、私達のとは全く別な世界へ、運び去られて了うのではありませんか。 私は、そうして、一つ一つ椅子を仕上げる 度毎 ( たびごと )に、いい知れぬ味気なさに襲われるのでございます。 その、何とも形容の出来ない、いやあな、いやあな心持は、月日が経つに従って、段々、私には堪え切れないものになって参りました。 「こんな、うじ虫の様な生活を、続けて行く位なら、いっそのこと、死んで了った方が増しだ」私は、真面目に、そんなことを思います。 仕事場で、コツコツと 鑿 ( のみ )を使いながら、釘を打ちながら、或は、 刺戟 ( しげき )の強い塗料をこね廻しながら、その同じことを、 執拗 ( しつよう )に考え続けるのでございます。 「だが、待てよ、死んで了う位なら、それ程の決心が出来るなら、もっと外に、方法がないものであろうか。 例えば……」そうして、私の考えは、段々恐ろしい方へ、向いて行くのでありました。 丁度その頃、私は、 嘗 ( か )つて手がけたことのない、大きな皮張りの肘掛椅子の、製作を頼まれて居りました。 此椅子は、同じY市で外人の経営している、あるホテルへ納める品で、一体なら、その本国から取寄せる 筈 ( はず )のを、私の雇われていた、商会が運動して、日本にも舶来品に劣らぬ椅子職人がいるからというので、やっと註文を取ったものでした。 それ丈けに、私としても、寝食を忘れてその製作に従事しました。 本当に魂をこめて、夢中になってやったものでございます。 さて、出来上った椅子を見ますと、私は嘗つて覚えない満足を感じました。 それは、 我乍 ( われなが )ら、見とれる程の、見事な出来ばえであったのです。 私は例によって、四脚一組になっているその椅子の一つを、日当りのよい板の間へ持出して、ゆったりと腰を下しました。 何という坐り心地のよさでしょう。 フックラと、 硬 ( こわ )すぎず 軟 ( やわら )かすぎぬクッションのねばり工合、 態 ( わざ )と染色を嫌って灰色の生地のまま張りつけた、 鞣革 ( なめしがわ )の肌触り、適度の傾斜を保って、そっと背中を支えて呉れる、豊満な 凭 ( もた )れ、デリケートな曲線を描いて、オンモリとふくれ上った、両側の肘掛け、それらの 凡 ( すべ )てが、不思議な調和を保って、 渾然 ( こんぜん )として「 安楽 ( コンフォート )」という言葉を、そのまま形に現している様に見えます。 私は、そこへ深々と身を沈め、両手で、丸々とした肘掛けを愛撫しながら、うっとりとしていました。 すると、私の癖として、止めどもない妄想が、 五色 ( ごしき )の虹の様に、まばゆいばかりの色彩を 以 ( もっ )て、次から次へと 湧 ( わ )き上って来るのです。 あれを 幻 ( まぼろし )というのでしょうか。 心に思うままが、あんまりはっきりと、眼の前に浮んで来ますので、私は、若しや気でも違うのではないかと、空恐ろしくなった程でございます。 そうしています内に、私の頭に、ふとすばらしい考えが浮んで参りました。 悪魔の囁きというのは、多分ああした事を指すのではありますまいか。 それは、夢の様に 荒唐無稽 ( こうとうむけい )で、非常に不気味な事柄でした。 でも、その不気味さが、いいしれぬ魅力となって、私をそそのかすのでございます。 最初は、ただただ、私の 丹誠 ( たんせい )を 籠 ( こ )めた美しい椅子を、手離し度くない、出来ることなら、その椅子と一緒に、どこまでもついて行きたい、そんな単純な願いでした。 それが、うつらうつらと妄想の翼を拡げて居ります内に、いつの間にやら、その日頃私の頭に 醗酵 ( はっこう )して居りました、ある恐ろしい考えと、結びついて了ったのでございます。 そして、私はまあ、何という気違いでございましょう。 その奇怪極まる妄想を、実際に 行 ( おこな )って見ようと思い立ったのでありました。 私は大急ぎで、四つの内で一番よく出来たと思う肘掛椅子を、バラバラに 毀 ( こわ )してしまいました。 そして、改めて、それを、私の妙な計画を実行するに、都合のよい様に造り直しました。 それは、極く大型のアームチェーアですから、掛ける部分は、床にすれすれまで皮で張りつめてありますし、其外、 凭 ( もた )れも肘掛けも、非常に部厚に出来ていて、その内部には、人間一人が隠れていても、決して外から分らない程の、共通した、大きな 空洞 ( うつろ )があるのです。 無論、そこには、 巌丈 ( がんじょう )な木の枠と、沢山なスプリングが取りつけてありますけれど、私はそれらに、適当な細工を施して、人間が掛ける部分に膝を入れ、凭れの中へ首と胴とを入れ、丁度椅子の形に坐れば、その中にしのんでいられる程の、余裕を作ったのでございます。 そうした細工は、お手のものですから、十分手際よく、便利に仕上げました。 例えば、 呼吸 ( いき )をしたり外部の物音を聞く為に皮の一部に、外からは少しも分らぬ様な隙間を 拵 ( こしら )えたり、凭れの内部の、丁度頭のわきの所へ、小さな棚をつけて、何かを貯蔵出来る様にしたり、ここへ水筒と、軍隊用の 堅 ( かた )パンとを詰め込みました。 ある用途の為めに大きなゴムの袋を備えつけたり、その 外 ( ほか )様々の考案を 廻 ( めぐ )らして、食料さえあれば、その中に、二日三日 這入 ( はい )りつづけていても、決して不便を感じない様にしつらえました。 謂 ( い )わば、その椅子が、人間一人の部屋になった訳でございます。 私はシャツ一枚になると、底に仕掛けた出入口の 蓋 ( ふた )を開けて、椅子の中へ、すっぽりと、もぐりこみました。 それは、実に変てこな気持でございました。 まっ暗な、息苦しい、まるで墓場の中へ這入った様な、不思議な感じが致します。 考えて見れば、墓場に相違ありません。 私は、椅子の中へ這入ると同時に、丁度、隠れ簑でも着た様に、この人間世界から、消滅して了う訳ですから。 間もなく、商会から 使 ( つかい )のものが、四脚の肘掛椅子を受取る為に、大きな荷車を持って、やって参りました。 私の 内弟子 ( うちでし )が(私はその男と、たった二人暮しだったのです)何も知らないで、使のものと応待して居ります。 車に積み込む時、一人の人夫が「こいつは馬鹿に重いぞ」と 怒鳴 ( どな )りましたので、椅子の中の私は、思わずハッとしましたが、一体、肘掛椅子そのものが、非常に重いのですから、別段あやしまれることもなく、やがて、ガタガタという、荷車の振動が、私の 身体 ( からだ )にまで、一種異様の感触を伝えて参りました。 非常に心配しましたけれど、結局、何事もなく、その日の午後には、もう私の這入った肘掛椅子は、ホテルの一室に、どっかりと、据えられて居りました。 後で分ったのですが、それは、私室ではなくて、人を待合せたり、新聞を読んだり、 煙草 ( たばこ )をふかしたり、色々の人が 頻繁 ( ひんぱん )に出入りする、ローンジとでもいう様な部屋でございました。 もうとっくに、御気づきでございましょうが、私の、この奇妙な行いの第一の目的は、人のいない時を見すまして、椅子の中から抜け出し、ホテルの中をうろつき廻って、盗みを働くことでありました。 椅子の中に人間が隠れていようなどと、そんな馬鹿馬鹿しいことを、誰が想像致しましょう。 私は、影の様に、自由自在に、部屋から部屋を、荒し廻ることが出来ます。 そして、人々が、騒ぎ始める時分には、椅子の中の 隠家 ( かくれが )へ逃げ帰って、息を 潜 ( ひそ )めて、彼等の間抜けな捜索を、見物していればよいのです。 あなたは、海岸の 波打際 ( なみうちぎわ )などに、「やどかり」という一種の 蟹 ( かに )のいるのを御存じでございましょう。 大きな 蜘蛛 ( くも )の様な恰好をしていて、人がいないと、その辺を我物顔に、のさばり歩いていますが、一寸でも人の 跫音 ( あしおと )がしますと、恐ろしい速さで、 貝殻 ( かいがら )の中へ逃げ込みます。 そして、気味の悪い、毛むくじゃらの前足を、少しばかり貝殻から覗かせて、敵の動静を伺って居ります。 私は丁度あの「やどかり」でございました。 貝殻の代りに、椅子という隠家を持ち、海岸ではなくて、ホテルの中を、我物顔に、のさばり歩くのでございます。 さて、この私の 突飛 ( とっぴ )な計画は、それが突飛であった丈け、人々の意表外に 出 ( い )でて、見事に成功致しました。 ホテルに着いて三日目には、もう、たんまりと一仕事済ませて居た程でございます。 いざ盗みをするという時の、恐ろしくも、楽しい心持、うまく成功した時の、何とも形容し 難 ( がた )い嬉しさ、それから、人々が私のすぐ鼻の先で、あっちへ逃げた、こっちへ逃げたと大騒ぎをやっているのを、じっと見ているおかしさ。 それがまあ、どの様な不思議な魅力を持って、私を楽しませたことでございましょう。 でも、私は今、残念ながら、それを詳しくお話している暇はありません。 私はそこで、そんな盗みなどよりは、十倍も二十倍も、私を喜ばせた所の、奇怪極まる快楽を発見したのでございます。 そして、それについて、告白することが、実は、この手紙の本当の目的なのでございます。 お話を、前に戻して、私の椅子が、ホテルのローンジに置かれた時のことから、始めなければなりません。 椅子が着くと、 一 ( ひと )しきり、ホテルの主人達が、その坐り工合を見廻って行きましたが、あとは、ひっそりとして、物音一つ致しません。 多分部屋には、誰もいないのでしょう。 でも、到着 匆々 ( そうそう )、椅子から出ることなど、 迚 ( とて )も恐ろしくて出来るものではありません。 私は、非常に長い間(ただそんなに感じたのかも知れませんが)少しの物音も聞き 洩 ( もら )すまいと、全神経を耳に集めて、じっとあたりの様子を伺って居りました。 そうして、 暫 ( しばら )くしますと、多分廊下の方からでしょう、コツコツと重苦しい跫音が響いて来ました。 それが、二三間向うまで近付くと、部屋に敷かれた絨氈の為に、 殆 ( ほとん )ど聞きとれぬ程の低い音に代りましたが、間もなく、荒々しい男の鼻息が聞え、ハッと思う間に、西洋人らしい大きな身体が、私の膝の上に、ドサリと落ちてフカフカと二三度はずみました。 私の 太腿 ( ふともも )と、その男のガッシリした偉大な 臀部 ( でんぶ )とは、薄い鞣皮一枚を隔てて、 暖味 ( あたたかみ )を感じる程も密接しています。 幅の広い彼の肩は、丁度私の胸の所へ凭れかかり、重い両手は、革を隔てて、私の手と重なり合っています。 そして、男がシガーをくゆらしているのでしょう。 男性的な、豊な 薫 ( かおり )が、革の隙間を通して 漾 ( ただよ )って参ります。 奥様、仮にあなたが、私の位置にあるものとして、其場の様子を想像してごらんなさいませ。 それは、まあ何という、不思議千万な情景でございましょう。 私はもう、余りの恐ろしさに、椅子の中の暗闇で、堅く堅く身を縮めて、わきの下からは、冷い汗をタラタラ流しながら、思考力もなにも失って了って、ただもう、ボンヤリしていたことでございます。 その男を手始めに、その日一日、私の膝の上には、色々な人が入り替り立替り、腰を下しました。 まっ暗で、身動きも出来ない革張りの中の天地。 それがまあどれ程、怪しくも魅力ある世界でございましょう。 そこでは、人間というものが、日頃目で見ている、あの人間とは、全然別な不思議な生きものとして感ぜられます。 彼等は声と、鼻息と、跫音と、 衣 ( きぬ )ずれの音と、そして、幾つかの丸々とした弾力に富む 肉塊 ( にくかい )に過ぎないのでございます。 私は、彼等の一人一人を、その容貌の代りに、肌触りによって識別することが出来ます。 あるものは、デブデブと 肥 ( こ )え太って、腐った 肴 ( さかな )の様な感触を与えます。 それとは正反対に、あるものは、コチコチに痩せひからびて、 骸骨 ( がいこつ )のような感じが致します。 その外、 背骨 ( せぼね )の曲り方、 肩胛骨 ( けんこうこつ )の開き工合、腕の長さ、太腿の太さ、或は 尾 骨 ( びていこつ )の長短など、それらの凡ての点を綜合して見ますと、どんな似寄った背恰好の人でも、どこか違った所があります。 人間というものは、容貌や指紋の外に、こうしたからだ全体の感触によっても、完全に識別することが出来るに相違ありません。 異性についても、同じことが申されます。 普通の場合は、主として容貌の美醜によって、それを批判するのでありましょうが、この椅子の中の世界では、そんなものは、まるで問題外なのでございます。 そこには、まる裸の肉体と、 声音 ( こわね )と、 匂 ( におい )とがあるばかりでございます。 奥様、余りにあからさまな私の記述に、どうか気を悪くしないで下さいまし、私はそこで、一人の女性の肉体に、(それは私の椅子に腰かけた最初の女性でありました。 )烈しい愛着を覚えたのでございます。 声によって想像すれば、それは、まだうら若い異国の 乙女 ( おとめ )でございました。 丁度その時、部屋の中には誰もいなかったのですが、彼女は、何か嬉しいことでもあった様子で、小声で、不思議な歌を歌いながら、 躍 ( おど )る様な足どりで、そこへ這入って参りました。 そして、私のひそんでいる肘掛椅子の前まで来たかと思うと、いきなり、豊満な、それでいて、非常にしなやかな肉体を、私の上へ投げつけました。 しかも、彼女は何がおかしいのか、突然アハアハ笑い出し、手足をバタバタさせて、網の中の魚の様に、ピチピチとはね廻るのでございます。 それから、殆ど半時間ばかりも、彼女は私の膝の上で、時々歌を歌いながら、その歌に調子を合せでもする様に、クネクネと、重い身体を動かして居りました。 これは実に、私に取っては、まるで予期しなかった 驚天動地 ( きょうてんどうち )の大事件でございました。 女は神聖なもの、いや 寧 ( むし )ろ 怖 ( こわ )いものとして、顔を見ることさえ遠慮していた私でございます。 其 ( その )私が、今、身も知らぬ異国の乙女と、同じ部屋に、同じ椅子に、それどころではありません、薄い 鞣皮 ( なめしがわ )一重を隔てて肌のぬくみを感じる程も、密接しているのでございます。 それにも 拘 ( かかわ )らず、彼女は何の不安もなく、全身の重みを私の上に 委 ( ゆだ )ねて、見る人のない気安さに、勝手 気儘 ( きまま )な姿体を致して居ります。 私は椅子の中で、彼女を抱きしめる真似をすることも出来ます。 皮のうしろから、その豊な首筋に 接吻 ( せっぷん )することも出来ます。 その外、どんなことをしようと、自由自在なのでございます。 この驚くべき発見をしてからというものは、私は最初の目的であった盗みなどは第二として、ただもう、その不思議な感触の世界に、 惑溺 ( わくでき )して了ったのでございます。 私は考えました。 これこそ、この椅子の中の世界こそ、私に与えられた、本当のすみかではないかと。 私の様な醜い、そして気の弱い男は、明るい、光明の世界では、いつもひけ目を感じながら、恥かしい、みじめな生活を続けて行く外に、能のない身体でございます。 それが、 一度 ( ひとたび )、住む世界を換えて、こうして椅子の中で、窮屈な 辛抱 ( しんぼう )をしていさえすれば、明るい世界では、口を利くことは勿論、側へよることさえ許されなかった、美しい人に接近して、その声を聞き肌に触れることも出来るのでございます。 椅子の中の恋(!)それがまあ、どんなに不可思議な、 陶酔的 ( とうすいてき )な魅力を持つか、実際に椅子の中へ這入って見た人でなくては、分るものではありません。 それは、ただ、触覚と、聴覚と、そして 僅 ( わずか )の 嗅覚 ( きゅうかく )のみの恋でございます。 暗闇の世界の恋でございます。 決してこの世のものではありません。 これこそ、悪魔の国の愛慾なのではございますまいか。 考えて見れば、この世界の、人目につかぬ隅々では、どの様に異形な、恐ろしい事柄が、行われているか、ほんとうに想像の 外 ( ほか )でございます。 無論始めの予定では、盗みの目的を果しさえすれば、すぐにもホテルを逃げ出す 積 ( つも )りでいたのですが、世にも奇怪な喜びに、夢中になった私は、逃げ出すどころか、いつまでもいつまでも、椅子の中を永住のすみかにして、その生活を続けていたのでございます。 夜々 ( よなよな )の外出には、注意に注意を加えて、少しも物音を立てず、又人目に触れない様にしていましたので、当然、危険はありませんでしたが、それにしても、数ヶ月という、長い月日を、そうして少しも見つからず、椅子の中に暮していたというのは、我ながら実に驚くべき事でございました。 殆ど二六時中、椅子の中の窮屈な場所で、腕を曲げ、膝を折っている為に、身体中が 痺 ( しび )れた様になって、完全に直立することが出来ず、しまいには、料理場や化粧室への往復を、躄の様に、這って行った程でございます。 私という男は、何という気違いでありましょう。 それ程の苦しみを忍んでも、不思議な感触の世界を見捨てる気になれなかったのでございます。 中には、一ヶ月も二ヶ月も、そこを 住居 ( すまい )のようにして、泊りつづけている人もありましたけれど、元来ホテルのことですから絶えず客の出入りがあります。 随 ( したが )って私の奇妙な恋も、時と共に相手が変って行くのを、どうすることも出来ませんでした。 そして、その数々の不思議な恋人の記憶は、普通の場合の様に、その容貌によってではなく、主として身体の恰好によって、私の心に刻みつけられているのでございます。 あるものは、 仔馬 ( こうま )の様に 精悍 ( せいかん )で、すらりと引き締った肉体を持ち、あるものは、蛇の様に 妖艶 ( ようえん )で、クネクネと自在に動く肉体を持ち、あるものは、ゴム 鞠 ( まり )の様に肥え太って、脂肪と弾力に富む肉体を持ち、又あるものは、ギリシャの彫刻の様に、ガッシリと力強く、円満に発達した肉体を持って居りました。 その外、どの女の肉体にも、一人一人、それぞれの特徴があり魅力があったのでございます。 そうして、女から女へと移って行く間に、私は又、それとは別な、不思議な経験をも味いました。 その一つは、ある時、欧洲のある強国の大使が(日本人のボーイの噂話によって知ったのですが)其偉大な体躯を、私の膝の上にのせたことでございます。 それは、政治家としてよりも、世界的な詩人として、一層よく知られていた人ですが、それ丈けに、私は、その偉人の肌を知ったことが、わくわくする程も、誇らしく思われたのでございます。 彼は私の上で、二三人の同国人を相手に、十分ばかり話をすると、そのまま 立去 ( たちさっ )て了いました。 無論、何を云っていたのか、私にはさっぱり分りませんけれど、ジェステュアをする度に、ムクムクと動く、常人よりも暖いかと思われる肉体の、くすぐる様な感触が、私に一種名状すべからざる刺戟を、与えたのでございます。 その時、私はふとこんなことを想像しました。 若し! この革のうしろから、鋭いナイフで、彼の心臓を目がけて、グサリと一突きしたなら、どんな結果を 惹起 ( ひきおこ )すであろう。 無論、それは彼に再び起つことの出来ぬ致命傷を与えるに相違ない。 彼の本国は 素 ( もと )より、日本の政治界は、その為に、どんな大騒ぎを演じることであろう。 新聞は、どんな激情的な記事を掲げることであろう。 それは、日本と彼の本国との外交関係にも、大きな影響を与えようし、又芸術の立場から見ても、彼の死は世界の一大損失に相違ない。 そんな大事件が、自分の一挙手によって、 易々 ( やすやす )と実現出来るのだ。 それを思うと、私は、不思議な得意を感じないではいられませんでした。 もう一つは、有名なある国のダンサーが来朝した時、偶然彼女がそのホテルに宿泊して、たった一度ではありましたが、私の椅子に腰かけたことでございます。 その時も、私は、大使の場合と似た感銘を受けましたが、その上、彼女は私に、 嘗 ( か )つて経験したことのない理想的な肉体美の感触を与えて呉れました。 私はそのあまりの美しさに卑しい考えなどは起す 暇 ( ひま )もなく、ただもう、芸術品に対する時の様な、 敬虔 ( けいけん )な気持で、彼女を讃美したことでございます。 その外、私はまだ色々と、珍しい、不思議な、或は気味悪い、数々の経験を致しましたが、それらを、ここに 細叙 ( さいじょ )することは、この手紙の目的でありませんし、それに 大分 ( だいぶ )長くなりましたから、急いで、肝心の点にお話を進めることに致しましょう。 さて、私がホテルへ参りましてから、何ヶ月かの後、私の身の上に一つの変化が起ったのでございます。 といいますのは、ホテルの経営者が、何かの都合で帰国することになり、あとを居抜きのまま、ある日本人の会社に譲り渡したのであります。 すると、日本人の会社は、従来の贅沢な営業方針を改め、もっと一般向きの旅館として、有利な経営を 目論 ( もくろ )むことになりました。 その為に不用になった調度などは、ある大きな家具商に委託して、競売せしめたのでありますが、その競売目録の内に、私の椅子も加わっていたのでございます。 私は、それを知ると、一時はガッカリ致しました。 そして、それを 機 ( き )として、もう一度 娑婆 ( しゃば )へ立帰り、新しい生活を始めようかと思った程でございます。 その時分には、盗みためた金が相当の額に上っていましたから、 仮令 ( たとい )、世の中へ出ても、以前の様に、みじめな暮しをすることはないのでした。 が、又思い返して見ますと、外人のホテルを出たということは、一方に 於 ( おい )ては、大きな失望でありましたけれど、他方に於ては、一つの新しい希望を意味するものでございました。 といいますのは、私は数ヶ月の間も、それ程色々の異性を愛したにも拘らず、相手が凡て異国人であった為に、それがどんな立派な、好もしい肉体の持主であっても、精神的に妙な物足りなさを感じない訳には行きませんでした。 やっぱり、日本人は、同じ日本人に対してでなければ、本当の恋を感じることが出来ないのではあるまいか。 私は段々、そんな風に考えていたのでございます。 そこへ、丁度私の椅子が競売に出たのであります。 今度は、ひょっとすると、日本人に買いとられるかも知れない。 そして、日本人の家庭に置かれるかも知れない。 それが、私の新しい希望でございました。 私は、兎も角も、もう少し椅子の中の生活を続けて見ることに致しました。 道具屋の店先で、二三日の間、非常に苦しい思いをしましたが、でも、競売が始まると、 仕合 ( しあわ )せなことには、私の椅子は 早速 ( さっそく )買手がつきました。 古くなっても、十分人目を引く程、立派な椅子だったからでございましょう。 買手はY市から程遠からぬ、大都会に住んでいた、ある 官吏 ( かんり )でありました。 道具屋の店先から、その人の邸まで、何里かの道を、非常に震動の烈しいトラックで運ばれた時には、私は椅子の中で死ぬ程の苦しみを 嘗 ( な )めましたが、でも、そんなことは、買手が、私の望み通り日本人であったという喜びに比べては、物の数でもございません。 買手のお役人は、 可成 ( かなり )立派な邸の持主で、私の椅子は、そこの洋館の、広い書斎に置かれましたが、私にとって非常に満足であったことには、その書斎は、主人よりは、寧ろ、その家の、若く美しい夫人が使用されるものだったのでございます。 それ以来、約一ヶ月の間、私は絶えず、夫人と共に居りました。 夫人の食事と、就寝の時間を除いては、夫人のしなやかな身体は、いつも私の上に 在 ( あ )りました。 それというのが、夫人は、その 間 ( あいだ )、書斎につめきって、ある著作に没頭していられたからでございます。 私がどんなに彼女を愛したか、それは、ここに 管々 ( くだくだ )しく申し上げるまでもありますまい。 彼女は、私の始めて接した日本人で、 而 ( しか )も十分美しい肉体の持主でありました。 私は、そこに、始めて本当の恋を感じました。 それに比べては、ホテルでの、数多い経験などは、決して恋と名づくべきものではございません。 その証拠には、これまで一度も、そんなことを感じなかったのに、その夫人に対して丈け私は、ただ秘密の愛撫を楽しむのみではあき足らず、どうかして、私の存在を知らせようと、色々苦心したのでも明かでございましょう。 私は、出来るならば、夫人の方でも、椅子の中の私を意識して欲しかったのでございます。 そして、虫のいい話ですが、私を愛して貰い度く思ったのでございます。 でも、それをどうして合図致しましょう。 若し、そこに人間が隠れているということを、あからさまに知らせたなら、彼女はきっと、驚きの余り、主人や召使達に、その事を告げるに相違ありません。 それでは 凡 ( すべ )てが駄目になって了うばかりか、私は、恐ろしい罪名を着て、法律上の刑罰をさえ受けなければなりません。 そこで、私は、せめて夫人に、私の椅子を、この上にも居心地よく感じさせ、それに愛着を起させようと努めました。 芸術家である彼女は、きっと常人以上の、微妙な感覚を備えているに相違ありません。 若しも、彼女が、私の椅子に生命を感じて呉れたなら、ただの物質としてではなく、一つの生きものとして愛着を覚えてくれたなら、それ丈けでも、私は十分満足なのでございます。 私は、彼女が私の上に身を投げた時には、出来る丈けフーワリと優しく受ける様に心掛けました。 彼女が私の上で疲れた時分には、分らぬ程にソロソロと膝を動かして、彼女の身体の位置を換える様に致しました。 そして、彼女が、うとうとと、居眠りを始める様な場合には、私は、極く極く 幽 ( かすか )に、膝をゆすって、 揺籃 ( ようらん )の役目を勤めたことでございます。 その 心遣 ( こころや )りが 報 ( むく )いられたのか、それとも、単に私の気の迷いか、近頃では、夫人は、何となく私の椅子を愛している様に思われます。 彼女は、丁度 嬰児 ( あかんぼ )が母親の 懐 ( ふところ )に抱かれる時の様な、又は、 処女 ( おとめ )が恋人の 抱擁 ( ほうよう )に応じる時の様な、甘い優しさを以て私の椅子に身を沈めます。 そして、私の膝の上で、身体を動かす様子までが、さも 懐 ( なつか )しげに見えるのでございます。 かようにして、私の情熱は、日々に烈しく燃えて行くのでした。 そして、遂には、ああ奥様、遂には、私は、身の程もわきまえぬ、大それた願いを抱く様になったのでございます。 たった一目、私の恋人の顔を見て、そして、言葉を交すことが出来たなら、 其 ( その )まま死んでもいいとまで、私は、思いつめたのでございます。 奥様、あなたは、無論、とっくに 御悟 ( おさと )りでございましょう。 その私の恋人と申しますのは、余りの失礼をお許し下さいませ。 実は、あなたなのでございます。 あなたの御主人が、あのY市の道具店で、私の椅子を御買取りになって以来、私はあなたに及ばぬ恋をささげていた、哀れな男でございます。 奥様、一生の御願いでございます。 たった一度、私にお逢い下さる 訳 ( わけ )には行かぬでございましょうか。 そして、一言でも、この哀れな醜い男に、慰めのお言葉をおかけ下さる訳には行かぬでございましょうか。 私は決してそれ以上を望むものではありません。 そんなことを望むには、余りに醜く、 汚 ( けが )れ果てた私でございます。 どうぞどうぞ、世にも不幸な男の、切なる願いを御聞き届け下さいませ。 私は昨夜、この手紙を書く為に、お邸を抜け出しました。 面と向って、奥様にこんなことをお願いするのは、非常に危険でもあり、 且 ( か )つ私には迚も出来ないことでございます。 そして、今、あなたがこの手紙をお読みなさる時分には、私は心配の為に青い顔をして、お邸のまわりを、うろつき廻って居ります。 若し、この、世にも無躾なお願いをお聞き届け下さいますなら、どうか書斎の窓の 撫子 ( なでしこ )の 鉢植 ( はちうえ )に、あなたのハンカチをおかけ下さいまし、それを合図に、私は、何気なき一人の訪問者としてお邸の玄関を訪れるでございましょう。 そして、このふしぎな手紙は、ある熱烈な祈りの言葉を以て結ばれていた。 佳子は、手紙の 半程 ( なかほど )まで読んだ時、 已 ( すで )に恐しい予感の為に、まっ青になって了った。 そして、無意識に立上ると、気味悪い肘掛椅子の置かれた書斎から逃げ出して、日本建ての居間の方へ来ていた。 手紙の後の方は、いっそ読まないで、破り 棄 ( す )てて了おうかと思ったけれど、どうやら 気懸 ( きがか )りなままに、居間の小机の上で、兎も角も、読みつづけた。 彼女の予感はやっぱり当っていた。 これはまあ、何という恐ろしい事実であろう。 彼女が毎日腰かけていた、あの肘掛椅子の中には、見も知らぬ一人の男が、入っていたのであるか。 「オオ、気味の悪い」 彼女は、背中から冷水をあびせられた様な、 悪寒 ( おかん )を覚えた。 そして、いつまでたっても、不思議な身震いがやまなかった。 彼女は、あまりのことに、ボンヤリして了って、これをどう処置すべきか、まるで見当がつかぬのであった。 椅子を調べて見る(?)どうしてどうして、そんな気味の悪いことが出来るものか。 そこには仮令、もう人間がいなくても、食物その他の、彼に附属した汚いものが、まだ残されているに相違ないのだ。 「奥様、お手紙でございます」 ハッとして、振り向くと、それは、一人の女中が、今届いたらしい封書を 持 ( もっ )て来たのだった。 佳子は、無意識にそれを受取って、開封しようとしたが、ふと、その 上書 ( うわがき )を見ると、彼女は、思わずその手紙を取りおとした程も、ひどい驚きに打たれた。 そこには、さっきの無気味な手紙と寸分違わぬ 筆癖 ( ふでぐせ )をもって、彼女の 名宛 ( なあて )が書かれてあったのだ。 彼女は、長い間、それを開封しようか、しまいかと迷っていた。 が、とうとう、最後にそれを破って、ビクビクしながら、中身を読んで行った。 手紙はごく短いものであったけれど、そこには、彼女を、もう一度ハッとさせた様な、奇妙な 文言 ( もんごん )が 記 ( しる )されていた。 突然御手紙を差上げます無躾を、幾重にもお許し下さいまし。 私は日頃、先生のお作を愛読しているものでございます。 別封お送り致しましたのは、私の 拙 ( つたな )い創作でございます。 御一覧の上、御批評が頂けますれば、此上の 幸 ( さいわい )はございません。 ある理由の為に、原稿の方は、この手紙を書きます前に投函致しましたから、已に御覧済みかと拝察致します。 如何 ( いかが )でございましたでしょうか。 若し、 拙作 ( せっさく )がいくらかでも、先生に感銘を与え得たとしますれば、こんな嬉しいことはないのでございますが。 原稿には、 態 ( わざ )と省いて置きましたが、表題は「人間椅子」とつけたい考えでございます。 では、失礼を 顧 ( かえり )みず、お願いまで。 匆々 ( そうそう )。 入力:砂場清隆 校正:湖山ルル 2016年1月1日作成 2016年11月12日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、で作られました。 入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

次の