顔 ケロイド。 ケロイド・肥厚性瘢痕を画像でみる 傷跡に起こり続ける皮膚の炎症とは?

ケロイド ・肥厚性瘢痕には好発部位があるので詳しく説明をします。名古屋栄の形成外科専門医。

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ケロイドや肥厚性瘢痕などの異常瘢痕は、簡単に言うと「【コラーゲンやそれを作る線維芽細胞】と【血管】のかたまりの中に、様々な【炎症を起こす細胞(炎症細胞)】が散らばっている腫瘍」です。 コラーゲンの塊が硬いので腫瘍は硬く、血管が多いので赤く見える、という訳です。 一番の問題点は、どんどん腫瘍が増えて広がっていくことです。 見た目も悪くなるし、患者さんが最も苦労するのは、【炎症細胞】が発する物質により痒さ・痛さが強い事です。 一言で瘢痕と言っても、専門的にはケロイド、肥厚性瘢痕、成熟瘢痕、などがあり、それぞれ治療法が異なります。 ケロイドだと診断を受けて長期にわたり治療を受けていても、実は全く違う腫瘍だったという事は外来で時々経験することでもあります。 ケロイドは特に意識しないような小さな傷やにきびなどからもでき、まるで何もない場所に突然できたようにも思えることがあります。 患者さんが「突然できた」とおっしゃるときは、ほとんどがニキビから発生したと思って良いでしょう。 それ以外に手術や外傷、BCG接種痕やピアスなどが原因になることが多いです。 好発部位は、前胸部や肩まわり、上腕、下腹部、耳、下顎角部などです。 それ以外には、臀部や大腿、上腹部、前腕などにも発生する場合がありますが、下腿、手足、頭、下顎角部以外の顔は非常にまれです。 ケロイド外来では、赤く盛り上がる「きずあと」である【ケロイド】や【肥厚性瘢痕】を診察・治療しています。 これらの腫瘍は、赤く盛り上がって痒みや痛みを伴う、たいへん不愉快なものです。 多くの患者さんが、「治らないと言われてきた」「いろいろ試したけど嫌になってやめてしまった」「このくらいは治療の必要がないと思っていたけど酷くなってきた」と言って来院されますが、その苦しみや不安は本人にしかわからないものです。 この腫瘍は治療が難しい上に、体質、年齢、できた場所によって最適な治療法が異なり、ベテランの形成外科医でも判断に苦慮することが多い疾患です。 そのためこの外来は、ケロイドに特化した専門の知識を有し、そのような患者さんの苦しみを少しでも減らすことを目的としてつくられました。 異常瘢痕の患者さんはもちろん、そうかどうか分からない方でも、少しでも心配なことがありましたらどなたでもお気軽に御相談ください。 ケロイドという病気は紀元前1600年のエジプトのパピルス(The Edwin Smith Papyrus,• oldest surviving surgical document)に記載されているといわれ、人類の歴史上で最も古くから認知されていた病気の一つだと言えます。 私がケロイドの治療や研究を始めた15年ほど前においてもまだ根本的原因は全く分からず、いわゆる「不治の病」とされていました。 その発生頻度は人種によって差があることはわかっておりましたが、「アレルギーによっておこる」「真菌が原因」「悪性腫瘍の性質を持った良性腫瘍だ」とさまざまな意見があり、「線維芽細胞や膠原繊維の異常である」というのが一般的な常識でした。 したがって、線維芽細胞に対して数多くの基礎研究がなされてきましたが、線維芽細胞の明確な異常は見つからずにおりました。 そこで「耳の形によってケロイドの発生率が違う(*1)」ことから、「ケロイドはそこにかかる張力によって形態が変わるのではないか」という仮説を考えました。 その仮説を確認するためコンピューターシミュレーションを行ったところ、「ケロイドは張力によって形態が変わり、張力こそが拡大の原因である」というケロイドの概念を大きく変える事実を突き止めました(*2)。 またその後、留学先のスタンフォード大学形成外科において、傷にかかった力がどのように細胞に伝わっていくのかを研究し、その経路を突き止め、医学雑誌の最高峰であるNature Medicine紙に掲載されました(*3) ただ未だに、「患者さんのどこの細胞に異常があり、張力を細胞に伝える経路が暴走しているのか?」は不明であり、引き続きその研究を行っております。 *1、赤石諭史、河邊京子、小川令、百束比古:耳部ケロイドの伸展機序に関する考察.瘢痕・ケロイド治療ジャーナル. 99-100. 2007. *2、Akaishi S, Akimoto M, Ogawa R, Hyakusoku H. The relationship between keloid growth pattern and stretching tension: visual analysis using the finite element method. Ann Plast Surg. 2008 Apr;60 4 :445-51. *3、Wong VW, Rustad KC, Akaishi S, Sorkin M, Glotzbach JP, Januszyk M, Nelson ER, Levi K, Paterno J, Vial IN, Kuang AA, Longaker MT, Gurtner GC. Focal adhesion kinase links mechanical force to skin fibrosis via inflammatory signaling. Nat Med. 2011 Dec 11;18 1 :148-52. 上で示したように、ケロイドや肥厚性瘢痕の原因には張力が大きく関与しています。 焚火をしている時のうちわをあおいでいる『手』ですので、張力や感染が多いと、たくさんあおぐことになります。 血管が拡張して様々な炎症細胞が集まってきます。 この炎の強さがケロイドの強さを表します。 外来の治療では、うちわや風を止める方法が多く、重度のケロイドの患者さんには張力や感染源を根本的に除去して「手が動くのを止める」がより推奨されると考えられます。 トラニラストは抗アレルギー剤であり、腫瘍や肥厚性瘢痕の中の肥満細胞が出す伝達物質を抑制することにより作用をきたすと考えられています。 一時、異常瘢痕とアレルギーには関係がないといわれていましたが、最新の研究ではその関係性が示唆されており、効果は弱いですが再度見直されているお薬です。 B)外用薬 塗り薬として効果のあるものにはいくつかあります。 炎症を抑える目的での、ステロイド軟膏やクリームや、非ステロイド系抗炎症剤があります。 また、ヘパリン類似物質などには保湿の効果があります。 テープかぶれしやすい患者さんには、優しく良い治療だとは思いますが、効果が弱いのが難点です。 また海外では、シリコンクリームなどを使用している事があるようですが、保湿以外の明確な作用機序は分かっていません。 C)シリコンジェルシートと圧迫 シリコーンジェルでできたシート状のシートにはさまざまな種類があります。 また、より安価なポリエチレンでできたポリエチレンジェルシートもあり、同様の効果が認められます。 ジェルシートは長期間貼っておくことで、保湿や創の安静・固定の意味があります*。 素材が柔らかくクッション性もあるため、服でこすれたりする疼痛が強い部分などにやさしく使用できる利点がありますが、汗をかくと容易にはがれてしまう難点もあります。 また昔から、やけどのきずあとはサポーターや包帯などで固定することが効果的とされてきました。 ケロイドや肥厚性瘢痕は、絶えず力がかかる部位にできる傾向が強いので、傷を安静に保つ意味で重要です。 シリコンジェルシートやシリコンクッションをテープや包帯で固定することは、圧迫・固定の作用も働いていると考えられています。 *Akaishi S, Akimoto M, Hyakusoku H, Ogawa R. The tensile reduction effects of silicone gel sheeting. Plast Reconstr Surg. 2010 Aug;126 2 :109e-11e. ドレニゾンテープは古くからあるステロイドテープで透明な素材で薄く、顔面や、嫌がってはがしてしまう小児に使いやすいものです。 また、数年前に発売になったエクラープラスターは効果が強いため、保存的治療の主役をなすものとなりました。 注射によって赤みや盛り上がりは著明に減少しますが、周囲の皮膚の菲薄化が生じることもあるのが欠点です。 また硬い瘢痕の中に注射するため強い痛みがあり、女性ではステロイドの影響で生理不順が生じることもあるため注意が必要です。 F)レーザー ケロイドや肥厚性瘢痕の治療に、レーザーを使うことがあります。 ケロイドや肥厚性瘢痕の中の血管を破壊したり、コラーゲンの分解を促進させることを目的としたものが主流です。 * ただ、現時点では保険適応外であり、治療で使用する場合は自費で行う必要があります。 *Akaishi S, Koike S, Dohi T, Kobe K, Hyakusoku H, Ogawa R:Non-contact mode long pulse nd:YAG laser therapy for keloids and hypertrophic scars、Journal of Wound Technology、2012. 1 G)その他 ひげ、陰毛や胸毛などがケロイド内に埋入されて感染を繰り返す場合、ケロイド部分の脱毛が効果をきたす場合があります。

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傷あと・ケロイド外来 | 東京血管外科クリニック

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ケロイド外来では、赤く盛り上がる「きずあと」である、ケロイドや肥厚性瘢痕を専門的に診察・治療しています。 ケロイドや肥厚性瘢痕は、赤く盛り上がって痒みや痛みを伴う、たいへん不愉快なものです。 特に顔をはじめとして目立つ場所にできた場合など、ケロイドの苦しみや不安は本人にしかわからないものです。 日本医科大学(日本医大)のケロイド外来はそのような患者さんの苦しみを少しでも減らすことを目的としてつくられました。 ケロイドの治療は、患者さんの体質、年齢、またケロイドのできた場所によって最適な治療法が異なるため、専門の知識が必要です。 この外来では、患者さん個人個人にあった最適な治療法を提案させていただいております。 ケロイドの患者さんはもちろん、ケロイドかどうか分からない方、またケロイドの予防にご興味のある方(ケロイド体質であることがわかっている上で、手術を受ける予定がある方)など、少しでも心配なことがありましたら、どなたでもお気軽に御相談ください。 東京は千駄木にある日本医大付属病院形成外科のケロイド外来には、毎年1年間で2000人弱のケロイドの新患患者さんが日本全国からおみえになりますが、年に1-2回しか来れない遠方の方や海外にお住まいの方でも無理なく治療を継続できるような治療プランを提案させていただいております。 現在ではケロイドは完治できる疾患となりました。 ケロイドは皮膚の深いところにある真皮という部分で炎症が続いてしまうことにより生じる疾患です。 炎症ですから、痒みや痛みがあります。 本来、きずを治すために必要な炎症が過剰に続いてしまうため、血管ができて赤く見え、膠原線維(コラーゲン)ができて盛り上がります。 よって痛みや痒みだけでなく、見た目も気になる、大変不快な疾患です。 ケロイドは炎症ですから腫瘍ではありませんし、悪性腫瘍のように転移したり、命を脅かすものではありませんが、大変不快なものですので、精神的悪性疾患と考えてしっかりと治療することが大切です。 過剰に心配する必要はありませんが、治療開始が早ければ早いほど、早く治ります。 患者さんがケロイドだと思っても、実は専門的には熱傷潰瘍・ケロイド・肥厚性瘢痕・成熟瘢痕・瘢痕拘縮といったものの可能性があり、それぞれ治療法が異なります。 もちろん外来にお越しいただければ、それらの診断をつけることができると思います。 中でもケロイドは体質によるものが多く、ご家族で同じような症状の方がいらっしゃる場合も少なくありません。 ケロイドは特に意識しないような小さなきず、たとえばにきびとかちょっとした毛嚢炎・毛包炎などからもでき、まるで何もない場所に突然できたようにも思えるものです。 胸や肩、腕(BCGの注射跡)、お腹(特に帝王切開をされた方の下腹部)などによくできます。 また、ピアスをあけた耳におおきなしこりができることもあります。 帯状疱疹やクラゲに刺された傷からもできることがあります。 運動などでケロイドの部位が引っ張られる力(炎症が強くなります)、女性ホルモン、妊娠(妊娠後期で悪化し、授乳中は軽快します)、高血圧などが悪化するリスク因子として知られています。 ケロイドは、できた部位や、いろいろな状態によって、最適な治療法が異なります。 以下に代表的な治療法を記載します。 これは抗アレルギー剤であり、ケロイドや肥厚性瘢痕の組織中にある各種炎症細胞が出す化学伝達物質を抑制することにより、痒みをはじめとする自覚症状を抑え、さらには病変自体を沈静化させると考えられているものです。 また、柴苓湯(さいれいとう)という漢方薬も症状の軽減に効果があります。 2 塗り薬 塗り薬として効果のあるものにはいくつかあります。 その他、当科では痒みに対してヨモギローションを使用することもあります。 3 安静・固定・圧迫 昔から、やけどのきずあとは、サポーターや包帯、胸帯、腹帯、ニーブレースなどで固定することが効果的とされてきました。 ケロイドや肥厚性瘢痕は、絶えず力がかかる部位にできる傾向が強いので、きずを安静に保つ意味で重要です。 さらに圧迫することで過剰な血流を抑制することができ、創部の炎症が改善します。 ジェルシートは長期間貼っておくことで、保湿や創の安静・固定の意味があります。 ジェルシート自体に粘着力があるため、傷跡やケロイドにぴったりくっつき、洗うことによって繰り返し使うことができます。 赤みや盛り上がりは著明に減少します。 塗り薬と同じく、ステロイドであるため、毛細血管の拡張を呈することもあり、周囲の皮膚の菲薄化が生じることもあるのが欠点です。 硬い瘢痕の中に注射すると痛みがあり、女性ではステロイドの影響で生理不順が生じることもあるため専門の外来で慣れた医師の注射を受けるのがお勧めです。 当科では極力痛みが少ないように、麻酔の注射を組み合わせたり、細い針を使い、注射する場所や方向を常に考えながら、患者さんが痛みをあまり感じずに必要な時に無理なく注射を受けられる工夫しています。 ケロイドの場合は場所や大きさ、その他いろいろな条件によって、使った方が良い場合と使わない方が良い場合があります。 われわれは、ステロイドの治療は数多い治療法の一つとして位置づけていますので、患者さんとよくご相談させていただいてから、必要なときのみに使用いたします。 6 レーザー ケロイドや肥厚性瘢痕の治療に、レーザーを使うことがあります。 ケロイドや肥厚性瘢痕の中の血管を破壊したり、コラーゲンの分解を促進させることを目的としたものが主流です。 当院のケロイド外来では、色素レーザー(Dyeレーザー)や Nd:YAGレーザーなどいくつかの種類のレーザーを設置しておりますので、部分的に試して、効果がある場合には継続してレーザーを照射することができます。 さらに炎症のとれた傷あとにはフラクショナルレーザーを施行することができます。 ただし健康保険を適用しての治療は現時点ではできません。 7 その他 そのほか液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されてきましたが、単独で効果のあるものは少ないのが現状です。 日本医大のケロイド外来担当医はケロイドに対する新しい治療法の開発のため、ケロイドに関連する遺伝子やタンパク質、また代謝物質などをターゲットに、診療と共に昼夜を問わず日々研究を行っております。 またを通じて日本におけるケロイド治療を発展させるための活動を行っています。 手術する方法 1 手術に対する考え方 ケロイドは、いままで解説してきた方法だけで軽快するようであれば、手術をしなくても良いのですが、しかし、ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、目立つ所で醜状が問題となれば、やはり手術をすべきです。 しかし、従来からこれらは安易に手術してはならないとされてきました。 なぜならば、楕円形に切り取ってそれを縫い縮めると、少し長めの直線のきずとなりますが、もしそこからケロイドや肥厚性瘢痕が再発したら、前より大きなものになってしまうからです。 今でもそのような考えの医師は多いのですが、形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに放射線治療である、電子線治療や小線源治療という方法を取り入れることによって、これらの問題を解決してきました。 放射線治療は、放射線科を受診していただいて、行います。 われわれの電子線照射に関する治療は、2005年に読売新聞、2008年に産経新聞など多数の新聞に掲載されてきました。 読売新聞 2. ケロイドは大きくなればなるほど治療が難しくなります。 治療開始が早ければ早いほど、早く治ります。 外来にて拝見して、今の患者さんにあった治療法をご提案させていただきます。 2 摘出術 麻酔は小さいものであれば局所麻酔でも良いですが、大きいものだと全身麻酔の方が患者さんには楽だと思います。 切除する深さは、脂肪層や筋膜に達するまで、硬い組織を全て切除します。 3 縫合法 ケロイドや肥厚性瘢痕を摘出した後に、傷を縫合しなければなりませんが、最も大切なことは、ケロイドや肥厚性瘢痕が再発しないように縫うことです。 ケロイドは、真皮から生じます。 よって、ケロイドが発生する真皮に過剰な力が加わらないように、真皮より深くにある筋膜などの組織をしっかり縫い寄せて、創縁が何もしなくてもくっついてしまうような状態にします。 そして、真皮縫合と表面縫合を最小限に行う方法を行っています。 多くの教科書には、表皮に力がかからないように真皮縫合で減張縫合をする、とかかれていますが、われわれは、表皮はもちろん真皮にも力がかからないように、真皮縫合は最小限に、それより深い部分の筋膜などのしっかりとした組織で減張縫合し、創面が盛り上がるように縫っています。 4 放射線治療 先にも記述しましたが、わたしたちの病院では、ケロイドの手術後に放射線を照射することがあります。 この電子線照射や小線源治療は放射線治療の種類であり、ケロイドの原因であると考えられる血管新生を抑制する目的で使用します。 もちろん放射線であるため、統計学的に発癌の可能性がないとは言えませんが、ケロイドに対する放射線治療の100年くらいの歴史の中で、発癌の因果関係がはっきりと証明された報告はありません。 安全な方法を放射線治療の専門医と相談しながら治療します。 また、あまりに大きいケロイドに対しては、手術をしないで放射線治療を行うこともあります。 5 放射線照射の方法 いわゆる癌をはじめとする悪性腫瘍の放射線治療では、40Gy以上の線量が用いられることが多いのですが、ケロイドや肥厚性瘢痕の術後では、病院によって違いはありますが、だいたい10Gyから20Gyくらいの線量が使用されます。 通常の方法だと、手術後翌日や翌々日から開始して、2-4日くらいに分けて分割照射します。 たとえば胸に対して20Gy照射するときはたいてい、手術翌日から1日5Gyずつ4日間照射します。 1回の照射にそれほどの時間はかかりませんが、手術のきずから5mm程度広い範囲に照射しています。 まず外来を受診していただくと、その状態に合った、様々な治療法をお勧めします。 その中から、患者さんと御相談して、治療方針を決めていきます。 治療には保険適応がありますが、ケロイドの様な病的な状態ではなく、単なる傷跡であれば、保険が適応できない場合もあります。 もし手術することになりましたら、だいたいの流れはこのような感じです。 局所麻酔で手術するか、全身麻酔で手術するか決めます。 小さいものでしたら局所麻酔で十分ですが、大きいものでしたら、全身麻酔が楽です。 全身麻酔では、術前に麻酔科の受診をしていただき、麻酔科専門医のお話を聞いていただきます。 放射線を照射することになりましたら、放射線治療科を受診していただき、放射線治療の専門の先生からお話を聞いていただきます。 入院するか、外来通院されるかですが、放射線照射をされる方は、術後翌日から2-4日間毎日放射線を照射することになるので、それが終るまで入院される方も多いです。 全身麻酔の場合には、入院をお勧めしています。 退院の時期に関しては、必ずしも抜糸するまで入院される必要はなく、早い方は術後翌日、また放射線が終了するまで、抜糸が終るまで、とご希望に応じて、患者さんと相談して決めましょう。 抜糸は大体手術してから、7日-14日の間に行う場合が多いです。 その後、シリコーンテープなど術後治療が始まります• 術後の患者さん自身の意識とケアがもっとも再発予防に重要です。

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自治医科大学 形成外科学部門

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図1C ケロイド キズあとには、肥厚性瘢痕よりも炎症が強いものがあり、それを「ケロイド」(図1C)といいます。 ケロイドの発症には後述する「」の関与が大きく、遺伝することもあります。 ケロイドは特に意識しないような小さなキズ、たとえばざ瘡(ニキビ)や毛嚢炎などからもでき、何もない場所に突然できたように思えるものもあります。 胸や肩、お腹(特に帝王切開をされた方の下腹部)、またBCG注射をされた腕、ピアスをあけた耳にできることもあります。 幼少期からケロイドができる人や、高齢になってから初めてケロイドができる人もいます。 その原因や悪化要因は様々です。 このようなケロイドでも最近では、しっかり早期から治療すれば、完治できるようになりました。 ケロイドで悩まれている患者さんはお近くの形成外科に相談してみてください。 図2 1.局所的な問題 1)傷の深さ 肥厚性瘢痕やケロイドは、熱傷や外傷、毛のう炎、手術創やBCG、ピアス穴などからできます。 皮膚は表皮と真皮から出来ていますが、この真皮の深い部分(真皮網状層)にキズができると発症します。 ニキビでも皮膚の表面近くで生じた浅いものではケロイドになりませんが、毛穴の毛根近くで生じた深いものではケロイドになります。 2)傷の治り方 キズの治り方が遅いと、肥厚性瘢痕やケロイドができるリスクが上がります。 浅いキズでも、痒みで掻いてしまったり、関節などにキズがあって、毎日キズが引っ張られるといった状況があれば、炎症が深いところまで広がり、肥厚性瘢痕やケロイドを発症することもあります。 例えばBCGの注射ではいわゆる「」がなくても注射した場所が何ヶ月も赤く腫れることがあります。 またピアスでは着脱を繰り返す度に膿が出ることがあります。 これらは肥厚性瘢痕やケロイド発症のリスクになります。 3)傷にかかる力 昔から肥厚性瘢痕やケロイドは、前胸部や肩甲部、下腹部など日常動作で頻繁に皮膚が引っ張られる場所に多いことが知られてきました。 一方、頭頂部(頭のてっぺん)や前脛骨部(むこうずね)からはめったに肥厚性瘢痕やケロイドができません。 これらの部位は皮膚をつまもうとしても直下に骨があるため難しく、体の動きに伴って皮膚が引っ張られることがない場所です。 さらに上眼瞼(うわまぶた)から肥厚性瘢痕やケロイドが発生することも稀です。 強く目をあけても、つぶっても、うわまぶたの皮膚はゆるんだ状態で、緊張が生じないためと考えられます。 2.全身的な問題(ケロイド体質や悪化因子) 1)妊娠・女性ホルモン 肥厚性瘢痕やケロイドは妊娠で悪化することが知られてきました。 また肥厚性瘢痕やケロイドの患者さんが子宮筋腫や子宮内膜症で偽閉経療法を受けると、その炎症が軽減し、痒みなどの自覚症状だけでなく隆起や赤さなどの他覚症状も軽快して成熟瘢痕になっていきます。 2)高血圧 高血圧の患者さんは、動脈硬化で血管抵抗が増強し、水の出るホースを指でつまんだように血液の流れが速くなります。 よって、肥厚性瘢痕やケロイドが悪化すると考えられています。 高血圧がある患者さんが大きな手術を受ける場合は要注意です。 3)全身の炎症 大きなけがややけどなどでは、全身に強い炎症がおこります。 このとき、全身的な炎症反応(サイトカインストーム)が生じます。 このような状態では、ふつう肥厚性瘢痕やケロイドにならないキズでも、肥厚性瘢痕やケロイドになることがあります。 4)過度の飲酒や運動 飲酒や入浴、運動後に肥厚性瘢痕やケロイドの痛みを訴える患者さんは多いです。 これには血管が広がったり、血液の流れが速くなることなどが関係していると思われます。 よって、過度の飲酒や、キズに力が加わるような運動は避けることが必要です。 このような生活習慣も悪化因子の1つと考えられます。 3.遺伝的な問題 親子で重症のケロイドが遺伝したり、母娘共に帝王切開のキズが肥厚性瘢痕になっている患者さんがいます。 一塩基多型という遺伝因子の研究が進んでいますが、「遺伝子のここがこうなっていたら、肥厚性瘢痕やケロイドを発症する」とまでは言い切れないのが現状です。 今も研究が続いています。 これは抗アレルギー剤であり、肥厚性瘢痕やケロイドの組織中にある各種炎症細胞が出す化学伝達物質を抑制することにより、痒みをはじめとする自覚症状を抑え、さらには病変自体を沈静化させると考えられているものです。 また漢方薬の柴苓湯が使われることもあります。 これらの効果は強くないので、他の治療法と合わせて用いられます。 2)塗り薬 塗り薬として効果のあるものにはいくつかあります。 炎症が軽度な肥厚性瘢痕は治癒する可能性がありますが、ケロイドは塗り薬だけで治療することは難しいのが現状です。 かぶれを生じなければ長く使用することで肥厚性瘢痕やケロイドの盛り上がりが改善します。 4)安静・圧迫・固定具 肥厚性瘢痕やケロイドは、日常動作で皮膚が引っ張られる部位にできて悪化する傾向が強いので、キズあとと周囲の皮膚を固定してしまう方法が有効です。 シリコーンテープや医療用の紙テープ(サージカルテープ)、シリコーンジェルシートやポリエチレンジェルシート、また包帯や腹帯、サポーターやガーメント、コルセットなどでも固定も有効です。 これらも他の治療法と組み合わせて行うべき治療の1つです。 赤みや盛り上がり、痛みや痒みは速やかに軽減します。 効果が強すぎるとかえって凹んだ瘢痕になることもあります。 塗り薬と同じく、ステロイドであるため、周囲の皮膚が薄くなって毛細血管が拡張することも欠点です。 また硬い瘢痕の中に注射すると痛みが出るため、痛くない注射・効果的な注射には熟練の技術が必要です。 女性ではステロイドの影響で生理不順が生じることもあるため注意が必要です。 6)レーザー ケロイドの治療に血管作動性レーザー(血管の数を減らすレーザー)が有効です。 代表的なものはNd:YAGレーザーですが、現在では健康保険を適用しての治療はできません。 7)その他 そのほか液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されてきましたが、単独で効果のあるものは少ないのが現状です。 2.手術する方法 1)手術に対する考え方 肥厚性瘢痕やケロイドは、手術しない方法で軽快する場合も多いですが、ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、目立つ場所で醜状が問題となれば、手術の適応となります。 しかし、今までは炎症の強いケロイドに関しては安易に手術してはならないとされてきました。 なぜならば、ケロイドは再発しやすいため、単に手術するだけでは前より大きなものになってしまうことがあるためです。 今でもそのような考えの医師は多いですが、形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに術後の放射線治療を行って、完治させることができるようになりました。 2)摘出術 麻酔は小さいものであれば局所麻酔でも良いですが、大きいものだと全身麻酔で行います。 切除する深さは、脂肪層に達するまで、硬い組織を切除します。 3)縫合法 肥厚性瘢痕やケロイドを摘出した後に、キズを縫合しなければなりませんが、最も大切なことは、見た目をきれいに縫うことではなく、ケロイドが再発しないように縫うことです。 ケロイドは、引っ張られる力がかかるキズにできやすいと考えられるため、引っ張られることを前提に、キズの方向を考え、あらかじめ盛り上げて、丁寧に縫うのがポイントです。 深いところでしっかり縫って、肥厚性瘢痕やケロイドができる真皮に力がかからないように工夫します。 真皮を縫う前に、創縁がお互いに自然にくっついている状況をつくることが大切です。 4)術後放射線治療 ケロイドの術後には放射線治療を行うことがあります。 手術後のキズが肥厚性瘢痕やケロイドになることを予防する効果があります。 しかし、副作用として周囲の正常皮膚への障害を考えねばならず、将来的にわずかながらその部位の発がんのリスクが増える可能性は否定できません。 しかし、最近のケロイド治療における放射線治療では、線量や照射方法が改善されていますので、発がんのリスクは最小限に抑えることができています。 5)手術の後療法について 肥厚性瘢痕やケロイドは、外科的治療および放射線治療で一度は完治したとしても、術後から局所の皮膚伸展を繰り返していれば、やはり再発することがあります。 よって、抜糸した後もシリコーンテープやジェルシートで固定したり、ステロイドのテープを用いることで炎症を消失させることが大切です。 瘢痕拘縮を生じてしまうと、柔らかくなるまで相当な時間がかかりますので、手術をすることも考えねばなりません。 早めに効果的な治療を行っていくことが大切です。 かぶれを生じなければ長く使用することで瘢痕拘縮が改善します。 3.手術する方法 「瘢痕拘縮」は、関節部や首など皮膚が引っ張られる場所にできるので、引っ張られる方向に力がかからないように、向きを変えたり、ジグザグに縫ったりして(Z形成術やW形成術)引きつれを解除します(瘢痕拘縮形成術)。 時には近くの皮膚をパズルのように切って組み合わせる、局所皮弁術が用いられることもあります。 普通の皮膚とは質感が異なり、単に見た目が問題となる場合が多いものです。 たとえばリストカットや根性焼きのやけどなどのキズあとが残っている状態です。 これらは見た目の問題であるため、健康保険を適用して治療できないものが多くなります(適用については担当医とご相談ください)。 2.手術 瘢痕を切除して縫合してしまう方法ができます。 しかし、面積が広いキズなどは縫い縮めることで周囲の皮膚がきつくなりますので、切除できる大きさには限界があります。 大きなキズあとの場合は、周囲の皮膚の下にエキスパンダーという風船を入れて、皮膚の面積を増やす方法があります。 1回目の手術でエキスパンダーを皮下に入れ、1-2週間に1回、病院で生理食塩水を風船に入れて膨らませていき、3ヵ月くらいしてから2回目の手術を行います。 正常皮膚の面積が大きくなっていますので、普通に切除しただけでは縫えないキズも縫えるようになります。 術後は、肥厚性瘢痕になる傾向が強くなりますので、抜糸した後もシリコーンテープやジェルシートで固定したり、ステロイドのテープを用いることで炎症を消失させることが大切です。 3.レーザー 皮膚に細かい穴をあけて、皮膚の再生を促す、フラクショナルレーザーが使用できる場合があります。 手術ではこれ以上改善させるのが難しい、と考えられるキズが適応となります。 キズを完全に消すことができませんが、目立たなくできる可能性があります。 普通は1-2月に1度レーザーをあて、複数回照射すると効果が出ます。 レーザーをあてた後、しばらく直射日光を避けなければなりません。 わずかな凹凸のあるキズには極薄テープを貼り、その上からファンデーションを塗布することで、見た目が改善します。 単に見た目が改善するだけでなく、目立つ場所のキズがいつでも隠せるという自信を持つことができ、人前にでることが嫌でなくなります。 精神的療法の1つと考えることもできます。

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