進行段階 症状 治療法 C0 【ごく初期の虫歯】 歯の表面のエナメル質が溶けはじめ、白く濁っている状態。 まだ歯に穴はあいておらず、痛みなどの自覚症状はありません。 適切なブラッシングやフッ素塗布で治ることがあります。 C1 【エナメル質の虫歯】 歯の表面のエナメル質がさらに溶け、黒ずんでいる状態。 冷たいものがしみることがありますが、まだ痛みはありません。 虫歯に冒された部分を削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めて治療します。 C2 【象牙質の虫歯】 エナメル質の内側にある象牙質まで虫歯が進行した状態。 冷たいものや甘いものがしみるようになり、ときどき痛むこともあります。 虫歯に冒された部分を削り、インレー(詰め物)で補います。 C3 【神経まで達した虫歯】 神経まで虫歯が進行した状態。 熱いものがしみるようになるほか、何もしていなくてもズキズキと激しく痛むようになります。 神経を除去し、神経が入っていた管(根管)の内部を消毒して薬剤を詰める根管治療を行い、クラウン(被せ物)を被せます。 これにより他の歯への虫歯菌の感染を防げます C4 【歯根まで達した虫歯】 歯の大部分が溶けてなくなり、歯根まで虫歯に冒された状態。 神経が死に、痛みはなくなりますが、歯根部に膿が溜まると再び痛みが出ます。 多くの場合、抜歯が必要です。 抜歯後、入れ歯やブリッジ、あるいはインプラントなどで失った歯の機能の回復を図ります。 神経まで達した虫歯について~根管治療~ 歯科用マイクロスコープ 歯科用マイクロスコープは、もともとは眼科や脳神経外科で使用されていたものを歯科用にしたものです。 当院ではカールツァイス社のマイクロスコープを導入しています。 口腔内は暗く狭いため、肉眼では細部まで見ることができません。 歯科用マイクロスコープは肉眼の21. 2倍まで拡大し、治療することができ、光が深いところまで届くため通常よりもより確実で精度の高い治療を行うことができます。 日本の歯科でのマイクロスコープ普及率はまだ5%もありません。 マイクロスコープのメリットとしては、しっかりと視て診療できるため余分な歯を削る事がありません。 また盲目的に行っていた治療を確実な視野を確保して行う事ができます。 これにより虫歯の治療、歯の神経の治療、歯周病治療、被せ物の治療等が正確かつ確実に行う事ができその結果、歯の寿命を長く保つ事が可能になります。 治療期間を短縮できるニッケルチタンファイル「プロテーパーネクスト」 ラバーダムとは歯の根の治療を行うときに使用する道具です。 歯の根の治療というのはとても複雑で困難な治療になります。 歯の根の治療の成功率が悪い理由の一つとして、唾液が関係します。 唾液中には多くの細菌が存在し、治療部位の根の中に唾液が入る事によって細菌の感染を起こし、治療を長引かせ再度根の治療が必要になり治療の成功率が下がります。 ラバーダム防湿は歯にゴムのシートをかけることにより、歯の根の治療部位への唾液の侵入を防ぎます。 また、ラバーダム防湿の他の利点は歯の根の治療に使う先の鋭い器具の口腔内への落下を防ぎ、殺菌作用の高い薬剤が漏れないよう安全に使用することもできます。 これらにより、治療の精確性の向上、歯の根の治療の成功率をあげることが可能になります。
次の重度の虫歯は自然には治らないからです。 最悪の場合、虫歯が原因で死に至る そもそも虫歯とはミュータンス菌という細胞がつくる酸によって、歯が溶かされてしまう病気です。 もし、虫歯があることを自覚していても、痛みがなかったり、我慢していたら痛みが消えたりしたといって放置している人もいるかもしれません。 虫歯の治療は痛いし、何度も歯医者に通わなければならず、面倒だからです。 筆者は歯科医師として歯や口周りの情報を「」というサイトで発信していますが、そこで訴えていることのひとつが、虫歯を放置することの危険性です。 「虫歯を放置したところで大きな病気になるわけでもないし、命に関わりがない」と考えている人も少なくないでしょう。 虫歯を病気として受け止めておらず、痛みや不具合が出てから歯医者に駆け込む人が多いと筆者は印象を持っています。 ところが、虫歯を放置しすぎると大変なことになります。 最悪は虫歯が原因で死に至ることがあるぐらいです。 2014年にイタリアのシチリアで18歳の女性が敗血症のために死亡しました。 その原因が虫歯だったのです。 虫歯は、放置し続けるとドンドン広がり歯を破壊します。 その後、歯の根っこの先まで広がり、原因菌が顎の骨まで到達し、炎症を起こしてしまいます。 その炎症の部分から、今度は原因菌が血管に入り込み、血液の流れに乗って体内を巡ります。 最終的に、脳や心臓に到達してしまう場合もあります。
次の「C3」段階の虫歯の治療内容 虫歯の治療内容を想像した時、ほとんどの人が「歯を削って詰め物を入れる」と想像するでしょう。 しかし虫歯の治療内容は進行度によって異なり、「C3」段階の虫歯になるとそれだけでは治せません。 まず削る範囲が深くなるため、詰め物ではなく被せ物で処置しなければならない可能性が高いです。 さらに治療内容が1つ加わり、根管治療が必要になってきます。 根管治療とは神経が通る歯の根の管…つまり根管内の清掃や消毒を行う治療で、 虫歯菌に感染した神経も除去しなければなりません。 痛みを伴う治療のため、治療時は麻酔を使用します。 根管治療について 根管の形状は人によって異なりますし、見えない根管内の細菌を全て取るのは難しいです。 このため、歯科医にとっても根管治療は難易度の高い治療になります。 根管内の清掃と消毒を終えた後は薬剤を詰め、その上に被せ物を立てて処置します。 この時細菌の取り残しがあると再び痛んでしまい、その際は再治療が必要です。 こうした難易度の高さから、患者さんも根管治療を行う場合は歯科医院に選びにこだわるべきでしょう。 失敗のリスクをゼロまでは減らせませんが、腕の良い歯科医に治療してもらえば成功率が高まります。 歯の神経を失うことの問題 「C3」段階まで進行した虫歯は、治療の中で神経を除去しなければなりません。 もちろんそれは良いことではないですが、ここまで虫歯が進行するとやむを得ないのです。 除去した神経は再生しないため、治療後は患部に神経のない生活を送らなければなりません。 その中ではどうしても以下のようなリスクが生まれます。 歯の見た目が悪くなる 神経を除去した歯は栄養が行き届きにくくなり、他の歯のような白さを維持できません。 このため、神経を除去した歯は変色して見た目が悪くなってしまいます。 歯が脆くなる これも栄養が行き届きにくくなることで起こる問題です。 栄養が不充分な歯は他の歯に比べて脆く、細菌にも感染しやすくなり欠けや割れも起こりやすくなります。 歯の異状に気付けない 神経を除去した歯は、今後歯に何かが起こっても痛みを感じることはありません。 そして痛みという自覚症状が失われるのは、歯の異状に気付くきっかけを失うということになります。 …歯の神経を除去する以上、これらのリスクはどうしても避けることができません。 だからこそ、ここまで進行する前に虫歯は治療しなければなりません。 いかがでしたか? 最後に、激痛を感じる時の虫歯の状態についてまとめます。 虫歯の段階 :進行度によって「C1」~「C4」の4段階に分けられ、激痛を感じる痛みは「C3」段階である 2. 「C3」段階の虫歯の状況 :歯の神経まで進行しており、重度の虫歯の状態 3. 「C3」段階の虫歯の治療内容 :歯を削るだけでなく、神経の除去などを行う根菅治療が必要 4. 歯の神経を失うことの問題 :歯が変色して脆くなる、痛みを感じなくなるので歯の異状に気付けない これら4つのことから、激痛を感じる時の虫歯の状態が分かります。 仮にこの「C3」段階の虫歯でも治療しなかった場合、虫歯は「C4」段階に進行します。 そうなると神経は死に、歯はボロボロでほとんど失われた状態になってしまいます。 ここまで進行すると治療しても歯を残せないため、処置として抜歯するしかありません。 つまり現在「C3」段階の虫歯を自覚している人は、 今すぐ治療しなければ近い未来に歯を失うことになってしまうのです。
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