そして顔を離してミソの瞳をじっと見つめたヨンジュンは「今夜はこのまま行かせたくない」 と言って深いキスを繰り返してブラウスのリボンを解いた。 だがブラウスのボタンを外していたヨンジュンは、そこへかかってきたユシクからの電話に中断された。 すぐに電話を切り再びキスを始めるが、再び鳴る電話に「緊急事態でなければ、明日から会社に来れないようにしてやる」 と毒づいて電話を取った。 そしてユシクから最近契約したフランスのブランド商品をライバル会社のUKグループが狙って接触していると聞いたヨンジュンは、立ち上がって書斎に向かった。 そしてユミョンの免税品店の当該商品の販売実績データーを転送する様に指示した。 その頃ソファで待っていたミソは、ブラウスのボタンが外れているのに気づいて「自分ではめるのって変じゃないででもこのままにしておくのも変よね…」と悩んだ。 そしてヨンジュンのセクシーなキスを思い出して、恥ずかしがってワインを飲み干した。 その後ユシクに連絡をとったヨンジュンは、データの分析結果を伝えた。 「そのブランドの全商品を我々の店から撤退させるのは、あまりにもリスクが高い。 あちらにい出向いて再交渉しよう」 と明日のフランスへの出張を指示して電話を切り、ミソの元へ戻った。 * その後「パリへ出張するキム秘書を一週間は見ることができない。 今夜一緒に過ごさなければ…」と思っていたが、ワインを飲んで眠ってしまっているミソ パク・ミニョン を見てヨンジュンは当惑した。 「酔っぱらうような雰囲気じゃなかったのに…、ワインを飲んで寝入ったのか?」 ミソの傍に座ったヨンジュは、ミソに語り掛けた。 「明日急に出張に行かなければならなくなった。 どうするかな?明日海外に行くと、少なくとも一週間はお互いを見られなくなるんだ」 「今夜一緒に過ごすことができなければ永遠に後悔すると思うが…。 」 とミソの耳にささやいて起こそうとするが、ミソはソファの上で寝たままだった。 さらに咳もしてみたが目を開けないミソに「かなり疲れているんだな」とため息をついて立ち上がると、ヨンジュンはお姫様だっこでミソを見て運んでベッドの上に寝かせた。 まだ深く眠っているミソの額に軽くキスした後、ミソの唇を見てロマンスの悪魔が現れるが、それを追い払い独り言を言った。 そしてワインを飲んでいる内に泥酔したのだと悟って頭を抱えていた時、傍の椅子に座って「目覚めたのか?」とヨンジュンに声をかけられて焦って起き上がった。 「良くお眠りになられましたか?」 「いいや、良くは眠れなかったよ。 キム秘書が先に眠ってしまったから…」 これに顔を引きつらしてごまかし笑いをした後、何が起こったのかと尋ねるミソに、ヨンジュンは「出張に行くことになった。 」と憂鬱そうに告げた。 その後出張の準備を急いで始めたミソの傍に近づいたヨンジュンは、後ろから抱擁した。 「今日離れたら一週間は会えないんだ。 一秒でもいいから抱かせてくれよ。 できればミソを連れて行きたいくらいだ。 スーツケースに入れて…」 「副会長はファーストクラスに乗って、私をスーツケースに入れて運送させるおつもりですか?ご一緒したいですが、副会長の不在中にしなければならない事が山ほどあるんです」 これに自撮りをして「僕に会いたい時にこの写真を見ればいい。 」と渡すヨンジュンに、にこやかに笑い携帯を受け取った。 そしてヨンジュンの携帯に自分を撮ると「私に会いたい時はいつでもご覧になって下さって構いませんよ」とすまし顔で許可を出した。 「何て光栄なんだ。 感謝します」 とふざけた後、一緒に写真を撮ったヨンジュンは「頻繁に電話しろよ。 しなかったら罰するぞ」とミソにキスをして「こんな風に…」と見つめた。 このハートに笑顔を浮かべ同じようにヨンジュンがハートを三つ送り返すと、それを受け取ったミソは、はにかんで喜んだ。 その日の夜、朝のパリから 「起こしたんじゃないよな?」とビデオ通話していくるヨンジュンと実は寝ていたが「いいえ~寝てません」と嘘を言って笑顔で話し始めるミソ。 「副会長について100回考えていました。 」 「それは残念だな…。 僕の方は君のことを101回考えたぞ。 次はもう少し頑張ってくれ給え!」 「ええそうしますわ」 「うらやましいな。 」 とにっこりと笑うミソを見て、パリのヨンジュンは微笑んだ。 それから数日間、何度か契約の問題点と修正案についてフランスの会社側と交渉を繰り返した末に、両社は合意に達し再契約が結ばれた。 その後ミソの声が聞きたくて電話したヨンジュンは、会議中で気づかなかったミソに失望した。 ミソの方もその夜かかってこない携帯のヨンジュンの写真を見て会いたいと思いながら眠った。 * 翌日、予定を早めて空港のターミナルをすたすた出口に向かって歩いていくヨンジュン パク・ソジュン に、片手でキャリーを引きながらユシクはゆっくり歩くように頼んだ。 そして 「急いでいるんだ。 キム秘書を見なければならないから…」 と堂々と答えるヨンジュンに呆れた。 「そういうことか!過密なスケジュールをこなして契約を早期に終了させ予約便より先の飛行機に乗って帰国したのは、全てキム秘書に早く会うためだったのか!」 「いいや、お前と少しでも早く別れるためだ!」 「俺がお前といて幸せだったと?いや幸せだったな…だが…」とユシクはロビーを見回しながらつぶやいた。 「それにしても…、キム秘書はお前に会いに来ていないな…」 「早く戻ったのを知らないのさ。 サプライズイベントにしたんだ。 突然僕の顔を見た時のキム秘書の明るい笑顔を見たいんだ」 とヨンジュンは浮き浮きと話した。 * だが急いで会社に戻ってきたヨンジュンは、秘書室に配属されたばかりの コ・グィナム 2PMチャンソン とインターン べ・ヒョンソン に笑顔を向けている ミソを廊下のガラスから見かけて嫉妬した。 その鋭い視線に寒気を感じヨンジュンに気づくと、ギョッとするグィナムと「副会長!」と笑顔になるミソ。 近づいたヨンジュンは「頑張ってくれ給え」と二人に挨拶をした。 「一生懸命働きます。 牛骨スープ の塩の様になりたいです。 大事な材料ではなくて誰も気付いてくれないとしても仕事をする男でありたいです」 そうアピールするグィナムに 「ソルロンタンは肉と塩だけだから、塩のようになりたいというのは欲心が強すぎるぞ。 だが楽しみにしている」 と言うとヨンジュンはミソを呼んでオフィスに入った。 「どうしたんですか?連絡を下されば空港までお迎えに行きましたのに…」 「笑うな!他の男に可愛い笑顔を見せるのはやめろ。 君に会いたくて食事も取らずに熱心に働き、12時間飛んで帰ってきたんだぞ。 突然現れた僕に微笑んでくれると思ってたのに、あのソルロンタンの塩とインターンに笑ってた君に怒ってるんだ!」 これに微笑むミソに、ヨンジュンはキスをした。 「何しているんです。 職場ですよ…」 とミソがうろたえると 「職場がまずいなら家に帰るか?」とヨンジュンは提案した。 これに「そういう意味じゃない」 と唖然とするミソを抱きしめたヨンジュンは「会いたかった。 離れていた分だけ一緒にいてくれ。 」 と頼んだ。 その後カフェに行き、外を見ながら 「良い天気だ」とのんびりと言うヨンジュンを、ミソは困ったように見つめた。 「5日間の不在中に溜まっている仕事が沢山あるんですよ。 それなのにこんな風にしていて良いのかどうかわかりません」 と非難気味にミソは指摘した。 「学生時代一度も授業をさぼったことはなかった。 それほど勤勉だった僕が人生で初めて仕事を抜けているんだ。 ミソと時間を過ごしたくて…」 その言葉に微笑むミソにヨンジュンはパリを思い浮かべて話した。 「一緒に歩いているカップルを見たとき、直ぐにでも家に帰りたくなったよ。 ミソとデートしたくて…。 それに耐えていたんだから今日だけ勘弁してくれ」 「じゃあ今日だけ…。 私もとても会いたかったので…」と微笑むミソに、ヨンジュンも微笑み返して手の甲にキスをした。 * 窓の外を見ながら 誘拐事件の前の光景を思い浮かべているソンヨン。 その日初めて来た英語の先生の元へ走って行ったソンヨンは「とても明るく賢い息子だ」と母が自分ではなくソンヒョン ヨンジュンの本名 を紹介しているのを見て、自分の勘違いに腹を立てた。 そして両親の注目を浴びるヨンジュンに嫉妬して、廃屋に連れて行き置き去りにしたのだった。 そんな時近づいてきた両親に声をかけられたソンヨンは、振り返って正直に自分の気持ちを告白した。 「決して心底からヨンジュンを憎んだことはなかった。 誰かを憎んでいたとしたら、それは無能な自分自身。 全てに完璧なヨンジュンが羨ましくて彼のようになりたかったんだ。 」 これにチェ女史 キム・ヘオク は「気づいてあげられずごめんね。 私たちがあなたにしたこと あるいはしなかった で傷つけたとしても許してくれる?」と尋ねた。 イ会長も「そんなつもりはなかったが、もし比較していたとしたら間違いだ」と謝罪した。 「遅すぎるかもしれないけど、あなたがどう感じていたのかを考えなかったことを心から詫びたいの」 これに「別の道を作ればいい。 遅すぎることはないですよ」と微笑むソンヨンに、二人は笑顔を浮かべた。 キム秘書がなぜそうか 13話 あらすじ 感想 二ページ目に続く.
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